今回のテーマは「非定型うつ病」について!
非定型うつ病は、新型うつ病とも呼ばれ、若い世代を中心に増えているうつ病です。
仕事中は元気がなくても好きなことはやれるなど、従来のうつ病とは異なる
症状が現れます。
そんな「非定型うつ病」について解説していきます!
非定型うつ病ってどんな病気?
「非定型うつ病」というのは正式な名称ではありませんが、本来のうつ病と違い、気分がずっと落ち込んでいるわけではないのが特徴です。
例えば、本来のうつ病(定型うつ病)の場合、朝落ち込みがひどく、夕方になるにつれて気分が晴れていきます。うつ病になる前に趣味だったことや、楽しめていたことなども興味を失ってしまいます。
しかし、非定型うつ病の場合、もし朝気分が落ち込んでいたとしても、自分にとって楽しいこと(ショッピングやレストランで食事を楽しむ等)を行うことによって気分が晴れてしまうことがあります。
このようなこともありますが、見た目には楽しそうに見えても抑うつ気分が断続的に続いており、定型うつ病と違って夕方になると気分が沈みがちになる傾向があります。
そのため夕方の仕事には身が入らず、サボり癖のように見えてしまうのも非定型うつ病の特徴の一つです。
そして、本来のうつ病では不眠の症状が見られがちですが、非定型うつ病では過眠の症状の方が現れやすいです。
簡単に従来のうつ病と非定型うつ病の症状を比較すると、以下のようになります。
うつ病と非定型うつ病の症状の違いは?
<うつ病(定型うつ病)>
・夜眠れない、途中で目が覚める、朝早く目が覚める
・食欲が落ち、体重が減少する
・朝調子が悪い
・気分が落ち込んだままである
・やる気がなくなる、無気力になる
<非定型うつ病>
・眠る時間が長い(過眠傾向)
・食欲が増え、食べ過ぎてしまう
・気分のアップダウンが激しい
・楽しいことや好きなことには打ち込める
・ささいなことで傷つく
ある意味「怠け」や「わがまま」にも見えてしまう症状なので、病気として認知されにくい傾向にあります。
また、非定型うつ病は出来事に反応して気分がアップダウンします。
嬉しい出来事があるとすっきりしていますが、少し嫌なことがあると気分が沈みがちになります。
このようにジェットコースターのように気分の変化が起きるので、周りも翻弄されやすくなります。(これを気分反応性といいます)
また、非定型うつ病の方は他人の些細な行動を敏感に感じ取ります。例えば、人と話しているときに相手は普通に接しているつもりでも、本人はマイナスに考えてしまい、怒ったり機嫌が悪くなったりすることもあります。
時にはそれにとらわれて何日も寝込んでしまうこともあるのです。こういった〝他者からの批判に過度に傷つくこと(拒絶過敏性)も症状の一つといえます。
そして、眠りすぎることも社会人や学生にとっては日常生活に支障をきたす症状です。
眠りにはつくものの、熟睡することができず、目覚めてもやる気は起きません。
からだの怠さや眠気から、学校や会社を休みがちになってしまい、日常生活をうまく送れなくなってしまうのです。
どうしたら症状が軽減される?
まず自分で出来る事というと、生活リズムを整えることです。
睡眠についての正しい知識を持ち、朝起きたら朝日を浴びます。そうするとオキシトシンと呼ばれるホルモンが増えます。
これは「幸せホルモン」とも呼ばれるものであり、からだ良い状態に保ってくれます。
その為、なるべく朝日を浴びられるように朝はきちんと起きるよう心がけます。
もし誰か起こしてくれる人が側にいる場合は、協力してもらうのも一つです。
また非定型うつ病になりやすい人は、「周りからどう見られているか」を常に気にする傾向にあります。
「自分は自分、他人は他人」と割り切って、何か批判されたときでも重くとらえすぎず、「今度から気を付けよう」とパッとそこで終わりにしてしまうことが大切です。
また自己主張が難しいこともありますが、失敗したときに受けたストレスや家庭内でのストレスなど、こころに溜めておきすぎては症状が悪化するだけです。
例えば旅行に出かける、買い物をする、友人と遊ぶなど自分なりのストレス発散法を見つけておけば、次の日などにそのストレスを持ち込まなくても済みます。
それだけで回復すればいいですが、症状が重い場合、病院を探すことも必要です。
病院で行われる治療としては、薬物療法や精神療法などがあります。
薬物療法では、医師の適切な指示のもと、処方された薬を服用します。
また、精神療法としては認知行動療法などがあります。
詳しくは割愛しますが、認知行動療法は、認知と呼ばれる物事の受け取り方や考え方のくせをなおしていく技法、とも言えます。
自分が落ち込んでいたりする時は、考え方もマイナスな方向に向かいがちです。それをプラスに変えられるよう、考え方の方向付けをしていきます。
何を考えるときも、「決めつけない」ことが大切です。
白か黒か、0か100かではなく、柔軟な思考ができるようになることで、物事の考え方や行動の仕方に変化が現れます。
薬物療法や認知行動療法などを取り入れることで、マイナスな方向に向きがちな非定型うつ病の方の物事の考え方を変えたりして、症状の軽減を図ります。
一見「怠け」や「わがまま」に見えてしまいますが、定型うつ病がある方はとても辛い思いをしています。
その為、適切な治療が必要となります。
「辛い」と思ったら、休職や休学などに陥るまで我慢するのではなく、身近な心療内科等に相談することが大切です。
そうすることによって、症状の悪化を防ぐことができます。
「精神科や心療内科に行く」というのは少し勇気のいることかもしれませんが、自分の気持ちを楽にするために一歩、踏み出してみませんか?
あなたのこころが少しでも楽になり、生きづらさが改善されることを祈っています。
著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。