食生活とこころの病との影響は?~食生活改善で健康なこころを!~

メンタルヘルス
Mohamed HassanによるPixabayからの画像

みなさんは、自分の食生活とこころの関係について考えたことはありますか?

外食ばかりだったり、ジャンクフードばかりに頼っていたりしていませんか?

食生活は、こころにも影響を及ぼします。

人間は、食べることによって様々な栄養素をからだに取り入れています。そのため、栄養が偏るとこころにまで影響が出て来てしまうこともあるのです。

今回「食生活とこころの健康の関係」についてまとめました。今、自分がどんな食事をしているか、こころの状態はどのようなものか、確認してみてください。

食生活を改善することで、こころも元気になります。

手軽に手に入る「栄養素がたくさん含まれている食品」についても解説しましたので、興味のある方はご覧ください。

■食生活がメンタルヘルスに影響する!?

「理由は分からないけれど落ち込み気味」
「なんだか憂うつ」

などといった日もありますよね。

ストレスが溜まっていると感じていても、こころの不調を感じていても、理由が分からないと対策の取りようがなく、余計に落ち込んでしまうと思います。

そういった時には「自分の食生活」を見直してみてはいかがでしょうか。

うつ病など、気分の落ち込みを主症状とする障害には、脳の神経伝達物質が関係しているという説があります。

からだや脳に十分な栄養が行き渡っていないと、次第に神経伝達物質は減少してしまいます。

そして

・気分が沈む
・イライラする
・感情が不安定になる
・恐怖を感じる
・悲しい気分になる

などの症状が現れるのです。

また、以下に挙げることがうつ病などの精神障害にかかる可能性を高めることもあります。

★朝食を抜く★

ご飯は1日3回きちんと食べること

ということはよく言われますよね。

栄養というのは、1つだけが独立して作用するのではなく、様々な栄養素が絡み合って効果を発揮するのです。

ですから、1種類の栄養素ばかり摂取しても、上手く吸収されなかったり、作用してほしいところに作用せず、流されてしまうこともあります。

3食食べないと、食事と食事の間にお腹が空くこともありますよね。それは、栄養不足のサインです。

1日に3食取るという習慣は、江戸時代後期に始まったと言われます。

それまでは早朝に起きて仕事をし、朝10時頃に家に戻って朝と昼を兼ねた食事を取っていました。

例えば奈良時代の役人の仕事は、昼過ぎまでです。

また、鎌倉時代の後醍醐天皇は、夕食を16時頃に摂っていたと言われています。

1日3食の習慣が広まったのは、照明の燃料である菜種油が普及したことで、1日の活動時間が長くなったことからだという説があります。

明治時代以降は人々が時計を見て活動するようになったことから、活動時間も長くなり、1日に2食だけではお腹が空いてしまうようになり、朝・昼・晩と食事をするようになったのです。

現代人も朝早くから夜遅くまで活動をするという生活を送っていることから、明治時代の食生活のパターンが合っていると言えます。

こういったことから、食に関しての考え方は様々にあると思いますが「現代人には3食取ることが必要なのでは?」という理由で「1日3食」取ることを推奨しています。

1食抜いてしまうと、次の食事の時間に高カロリーなものを選んでしまったり、食事の量が増えてしまったりして、逆に肥満になってしまう可能性があるのです。

例えばダイエット目的で1日1食にする方もいらっしゃいます。

最初の方は、単純に食べる量が減ることから体重は減ります。

単純に食べない時間が増えることから、体脂肪も減っていくためです。

ただ、1日1食だとタンパク質も十分な量が摂れないことから、筋肉量も減っていきます。

筋肉量が減ってしまうと、基礎代謝も下がっていきます。そうすると「痩せにくい身体」になってしまうのです。

基礎代謝が下がれば、からだは1日1食という少ないエネルギーで活動を強いられることになり、脂肪を溜め込みやすくなります。

すると、少し食べ過ぎただけですぐリバウンドしてしまう可能性も高いのです。

1日1食を推奨する等、現代は色々な考えがありますが、こういったことから、できることなら1日3食を食べられると、からだにも良いとも考えられます。

★食べ方が早い/「ながら」食べをしてしまう★

人は、無意識のうちに活発な行動を促す交感神経」と、リラックスモードを促す副交感神経」を交互に繰り返しながら心身のバランスを整えています。

この‶リラックスモード〟を促してくれる副交感神経の働きが悪くなった時が問題です。

本来であれば、食事の時間は副交感神経が高まる時間です。

しかし、テレビを観ながら、新聞を読みながら、スマートフォンを触りながらなど「ながら」食べをしていると、食事中もずっと「交感神経」が活発なままになってしまうのです。

食事の時はスマートフォンは触らないようにしたり、テレビも消して、しっかりと「食事のための時間」が取れると良いですね。

★バランスの悪い食事をしている★

例え1日3回食事を取っていても、バランスが悪ければ元も子もありません。

以下の4点に当てはまる人は、食事の見直しをしてみるといいと思います。

1.主食・主菜・副菜がそろっていない食事
2.カップ麺などのインスタント食品・レトルト食品が多い
3.肉や魚をあまり取っていない
4.体重が増えたのが気になって、食事制限をしている

このような食事では、栄養が偏ったり、不足してしまうことになります。やはり1日3回、バランスの良い食事を取ることを心がけた方が良いでしょう。

★現代の子どもの食生活は?★

最近の子どもの中には「キレやすい」と言われていたり、ちょっとしたきっかけで暴力を振るったりと「問題行動」を起こしてしまう子もいます。

そんな「問題を起こす」子どもたちの食生活を見てみると、食生活の乱れも一因なのではないかという説があげられました。

例えば
・朝食を抜く
・料理は作れないからファストフードやインスタント食品に頼る
・添加物たっぷりのお菓子、清涼飲料水や炭酸飲料、またアイスクリームなどを間食として食べる

など、あまりからだに良いとは言えない食生活を送っている子どもが多いようです。

上記の食事や食べ物に共通していることは、お肉や糖質(ご飯やパン、麺類、砂糖など)が多く、野菜が圧倒的に少ないということです。

栄養素でいうと、カルシウムやビタミンが不足しています。

そんな子どもたちに「好きな食べ物は?」と聞くと、ハンバーガー、パスタ、焼き肉、ジュース、ラーメン、カレーライス……普通の少年少女と変わらない食べ物が挙げられます。

問題を起こした子ども(非行を起こした子ども)たちのメンタルは、上記のような食事をほぼ毎日取っていたことも一因となって、支障を来たしてしまったのです。

怖いのは、多かれ少なかれ一般の少年少女もこういった食生活を送っているということです。

それが原因となって、問題行動を起こしてしまう可能性もあります。

どのような食生活を送っているかというのは、問題行動の引き金にもなりかねないのです。

食生活だけが問題行動の理由とは言えませんが、バランスの取れた食事は大切だということがお分かりいただけると思います。

■「みんなで食事をする」とこころに良い影響が?

家族や友人と食事をすると、自然とコミュニケーションをとる機会も増えますよね。

農林水産省が行った平成30年度「食育に関する意識調査報告書」(アンケート)によりますと、家族と食事をする人について、以下のようなメリットがあるとされています。

・家族とコミュニケーションをとることができる
・楽しく食べることができる
・規則正しい時間に食事をすることができる
・栄養バランスの良い食事をすることができる
(アンケートの内、上位4位/3つまで回答可)

確かに、一人暮らしなどで家で食事を食べるとなると、直接話せる相手はいません。

例えば友人と電話をしながら、LINEをしながら、リモートで会話をしながらなど話そうと思えばいくらでも手段はありますが「直接会話をする相手がいないのは寂しいものです。

また、一人で食事をするとなると、食べるものはどうしても「自分の好きな物」になりがちです。

さらには仕事に疲れたからといって、インスタント食品やレトルト食品に頼ってしまったり、ファストフード店で簡単に済ませてしまうということもあるでしょう。

そして、一人で食事を取ることを「孤食」と言いますが、孤食の場合、話し相手がいないので黙々と食べ物を口に運ぶことになり、早食いになる傾向があります。

早食いのデメリットとしては、食欲のコントロールが間に合わず、つい食べ過ぎてしまうという点です。

早食いをしてしまうと、将来肥満になってしまったり、生活習慣病にかかる可能性も高くなります。

「誰かと一緒に食事をする」ことで、話をしながらゆっくり食事をするようになり、きちんと食べ物を咀嚼して食べる習慣がつきます。

それが、食べ物の消化を促すことにもつながるのです。

特に成長期の子どもには、家族と一緒に食事を食べる習慣をつけてほしいと思います。

それは、成長期であるからバランスの良い食事を決まった時間に食べれるようにするという点もありますが、食事をする上で、マナーを身に付けるためにも大切な時間であるということも理由となります。

今は親も共働きのことが多く、毎日一緒に食べるということは難しいかもしれませんが、1日に数回は一緒に食べられるよう家族の間で工夫をして、良い「食育」につなげていってほしいと思います。

★家族以外の「コミュニティ」での食事★

今の日本では、先述したように両親が仕事で遅くにしか帰ってこなかったり、子ども自身も塾や習い事で帰宅時間が曜日によって決まっていなかったりして、毎日3回家族で食事をするというのは難しい状況にあります。

子どもの「孤食」を減らすために運営されている「こども食堂」の数も年々増加してきています。

そんな「こども食堂」の増加のメリットは、子どもたちだけでなく大人たちにもあります。

それは、こども食堂を運営しているボランティア、一緒に食事を作る主婦たち、子どもに勉強を教えたり一緒に遊んだりする大学生などのボランティアや高齢者たちが、自分の持っている能力や技術を発揮できるということで、その活動にやりがいを感じているという点です。

さらに、家では自分一人で食事をしなければならない子どもだけでなく、一人暮らしの高齢者がみんなと一緒に食事をすることを楽しみにしていたり(大人でも低料金、または無料で利用できるこども食堂もあります)親子で一緒に食事をしに来る家族がいたりして、「家族」という枠だけでは収まらない、「地域」で交流する食事の場となっているのです。

こども食堂を様々な世代が利用することによって、新たな人間関係が生まれることもメリットですし、子どもが利用することで、食べ終わった食器を洗い場まで持って行ったり、食事をする前に箸やお皿を並べたり、配膳の手伝いをするといったマナーが身に付くのもメリットの一つであると言えるのではないでしょうか。

昔と比べるとライフスタイルも変化してきた現代、食事をするコミュニティにも広がりが出てきたようですね。

■こころに良い影響を与える食べ物とは?~コンビニでも買える!~

さて、「からだやこころに良い食べ物」というと凝ったものを作らなければいけないようなイメージがありますが、実は「コンビニにも売っている、こころに良い影響を与える食べ物」もあるのです。

この章では、それらを中心に「こころのバランスを良くしてくれる」食べ物(栄養素)
を紹介していきます。

★ヨーグルト★

ヨーグルトの原料になる牛乳には「トリプトファン」と「カルシウム」が含まれています。

トリプトファン」は、神経を抑えてくれる「セロトニン」の原料です。また「カルシウム」はイライラを抑えてくれる効果を持っています。

ヨーグルトと言っても、色々な種類がありますよね。もちろんプレーンでもOKなのですが、果物が入ったものを選ぶと「ビタミンC」も一緒に摂ることができて一石二鳥です。

★おつまみ★

お酒をたしなまれる方は、おつまみを選ぶ際に含まれている栄養素にも注目してみると良いかもしれません。

から揚げ、ゆで卵、枝豆などたんぱく質が豊富です。

そして、その中には「トリプトファン」が含まれています。中でも「枝豆」はおすすめです。

枝豆は栄養価がとても高くトリプトファン」はもちろんのこと「ビタミンB 」「ビタミンE」「カルシウム」「マグネシウム」も豊富に含んでおり、さらに嬉しいのが、カロリーも高くないというところです。

★ココア★

ココアに含まれている「マグネシウム」は、「カルシウムと一緒に摂ることでさらに良い効果を発揮します。

そこで、もしコンビニでココアを買う際は、牛乳が入ったものを選ぶと良いでしょう。

もしパウダー状のものを買うならば、お湯で割るのではなく、牛乳で割って飲んでみてください。

アイスにしても美味しいですが、温かい飲み物はこころを落ち着けてくれる効果もあるので、苦手でなければ温かい牛乳で割って飲むことをお勧めします。

温かい飲み物には、ストレスを和らげる効果もあるからです。

★スムージー★

今は、わざわざ家で作らなくても、様々なスムージーが店頭に売られていますよね。

スムージーには、色々な野菜や果物が入っています。これらには「ビタミンC」が多く含まれています。

例えば「カルシウム」を摂りたいと思ったら、材料に牛乳や豆乳、小松菜、ほうれん草などが含まれているものを選びましょう。

トリプトファン」を摂りたいと思ったら、バナナが入っているものを選ぶのがお勧めです。

スムージーを買う時には、パッケージを見て、自分の摂りたい栄養素が含まれているかどうかで選んでみてください。

以上、4つの項目に分けてコンビニで手軽に手に入る「こころのバランスを良くしてくれる」食べ物・飲み物を紹介しました。

どれも店頭に行けば簡単に手に入るので、会社帰りに買って帰ることもでき、お手軽です。

今の自分のこころの状態を客観的に見てみて「この栄養素が足りていないな」というものがあれば、買い物に行かれた際に探してみてください。

■まとめ

食事がどのようにメンタルヘルスに影響を与えているか、また「一人での食事」のデメリット、そして手軽に手に入る栄養が多く含まれている食べ物・飲み物などについて紹介してきました。

実は筆者も、あまり良い食生活を送っているとは言えません。

どうしても偏ったものばかり食べてしまったり、朝食を抜いてしまったりすることが多いです。

インスタント食品ばかりを食べていた時は、感情の波が激しくなることもありました。

今は意識的に野菜を取るようにしていたり、平日は仕事で疲れきってしまって料理ができないので、せめて休日には料理をして、少しでもからだに良いものを取ろうと心がけています。

また、最近では以前のようにインスタント食品ばかりに頼ることも少なくなりました。

少しずつですが、健全な食生活を送れるように努力しています。

食生活はメンタルヘルスに多大な影響を与えます。

ですから、筆者のように「平日は仕事でクタクタ」という方は、先ほど挙げた様な「コンビニで手に入る栄養素の高い食べ物・飲み物」を買ってみたり、サプリで補ったりするのも一つの手だと思います。

「バランスの取れた食事」が取れるようにするにはどうしたらいいか、一度考えてみると良いかもしれませんね。

例えば、同じ「外食をする」にしても、ファストフードのお店にばかり行くのではなく、野菜中心の料理や、カロリーが計算された料理を提供してくれるお店に通うのも良いと思います。

自分なりの方法で「バランスの取れた食事」が摂れるようにして「こころの健康」にも気を付けていきたいですね。

筆者も少しずつですが食事に対する意識を変えていきたいと思いますので「こころの健康」が気になっている方も、一緒に頑張っていきましょう。

以上で「食生活とメンタルヘルス」についてのコラムの締めくくりとさせて頂きます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。