就労移行支援事業って?~受けられる支援、利用対象者を紹介~

障害者の就労

今回は、「就労移行支援事業所(以下就労移行支援)」について紹介します!

障害があっても一般就労を目指したい!という方をサポートする障害福祉サービスの一つです。

それでは詳しくみていきましょう!

就労移行支援事業の対象者は?

利用の対象者としては、

1.一般企業での就職を目指す方(福祉的就労を目指す方は対象外です)
2.身体・知的・発達・精神障害、または難病があること
 (障害者手帳をもっていなくても、医師の診断書や自治体の判断によって
  利用できることもあります)
3.18歳以上、満65歳未満の方
4.離職中の方(例外あり)

このような方々が利用できる対象者となります。

そして、

・自分に合った仕事が見つかるかなぁ
・長い間働いていなかったけど、また一般就職したい!
・一般就職を目指しているけど、一人だと難しい!

という思いがある方には、おすすめの事業所だと言えます。

就労移行支援では、就職にあたっての不安や悩みをスタッフと共有しながら、一般就職へ向けての準備をしていきます。

「自分にできること」から始めよう!

就労移行支援では、まず「個別支援計画」と言われる個人の特性や能力、症状に合った就職までの計画作りをします。

それをもとに、利用者の希望やニーズを引き出しながら、利用者が一般就職し、働くことに慣れるまでスタッフがサポートしていきます。

この計画作りの時点で、自分の思い描いている将来像や、得意・不得意なこと、自分の障害の特性等をしっかりとスタッフに話すことが大切です。

そして一緒に計画作りに取り組み、自分のやりたい仕事に就くには、どのようなことが必要なのか等の課題点を見つけていきます。

そして、就労移行支援を利用している間に課題点をできるだけ克服し、スタッフの力も借りながらプログラムに取り組み、一般就職に繋げていきます。

とにかく、「自分のできること」から始め、自分が就職する際に必要な能力を身に付けまた職場実習なども行っていきます。

こういったプログラムに取り組んでいる最中にも、

「やりたい仕事が本当に自分に向いているのか」

「その仕事について自分に今足りないものは何か」

を考えながら、「自分の力になる」プログラムにしていくのが大切です。

そして、事業所で仕事のことや体調の面などでの悩みができたときは、生活支援員など事業所のスタッフに相談することもできます。

悩みができた時は、一人で抱え込まず、スタッフと共に考えていきましょう。

実際に一般就職に向けての活動が近付くと、事業所では企業面接の場面を想定して練習を行ったり、履歴書の書き方を学ぶなど実践的な支援も行います。

また、一般就職後、人間関係や仕事関係について悩みが出てくることも考えられます。そういったときにも事業所が利用者と企業の間に入って、利用者がその企業で「長く、安心して」働けるように調整を行ってくれるのです。

このように就職後もサポートしてくれるシステムを、「就労定着支援」といいます。

就労移行支援の利用期間は最長2年間ですが、自治体の判断によってさらに最大1年間利用期間が延びる場合もあります。

しかし、2年間目一杯利用しなければならない、というわけではありません。数か月で就労移行支援を卒業していく人もいます。

ここまでサポートしてくれる頼りになる事業所ですが、賃金が発生しない(支払われる場合もあります)という部分は理解しておいてください。

なぜなら、就労移行支援での作業はあくまでも「訓練」という位置づけだからです。

自分に合った働き方を考えよう!

もし、収入を得ながら一般就職に向けてスキルアップをしたい場合は、就労継続支援A型をおすすめします。

また、「働くことに慣れたい」「自分のペースで働きたい」という方には、

就労継続支援B型が向いていると言えます。

そして、「就労についてのビジネスマナーをしっかり学びたい」「様々なプログラムでスキルアップを図りたい」という方は、就労移行支援を利用されるといいと思います。

2017年の厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」の調査では、就労移行支援を利用した人の一般就労就職率は約27%でした。

それに比べ、就労継続支援A型利用者では約5%、就労継続支援B型利用者では約2%前後と、就職率にはかなりの差があります。

法定雇用率(企業などが雇用しなければならない障害者の割合)も上がったため、これからも障害を持った方々が、就労移行支援等様々な社会資源を利用して一般就職するケースも増加していくと思われます。

就労移行支援事業についてまとめ

就労移行支援を利用する際は、

自分が本当に身に付けたいことは何なのか

自分の障害の特性や症状に合った職業は何なのか

についてしっかり考え、自分のニーズに合った事業所選びをし、目標に向かって一歩一歩前進していくことが大切だと思います。

障害を持っているけれど、働きたい!」と思ってはいても、いきなり一般就職するのが困難で、就労移行支援に興味を持たれた方、ぜひチャレンジされてみてはいかがでしょうか?

あなたにあった働き方ができることを願っています。

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。