【障害者トライアル雇用について働きながら自分の力を試してみよう!

障害者の就労

今回のテーマは「障害者トライアル雇用」について!

「障害を持っていても働きたい!」「だけど最初から長時間働くのはちょっと…」

という方もいらっしゃると思います。この「障害者トライアル雇用」では、約3か月から6か月の間(精神障害のある方は原則6か月、最大12か月)その職場で働いてみて自分の適性を発見したり、企業と当事者、両者の不安を解決しながら、障害者の方が一般企業で働いていくことを目指すものです。

いきなり長時間は難しいなぁ、という人には障害者短時間トライアルコースという制度もあります。

そんな「障害者トライアル雇用」について見ていきましょう!

当事者と企業側の橋渡し!利用可能な人は?

当事者としては、

・障害を受け入れてもらえるかな
・服薬は時間通りさせてもらえるかなぁ
・通院の日に休みはとれるだろうか
・人間関係をうまく築きたい

等という不安があると思います。

また企業側としては、

・障害者とどう接していったらいいんだろう?
・どんな業務を任せたらいいんだろう?
・障害の特性にはどんなものがあるのかな?

という疑問が出てくると思います。

その両者の不安を解決しながら、その企業で障害者が働けるようにするのが障害者トライアル雇用の目的とも言えます。

では、利用対象となる人はどんな人でしょうか?

1. これまでに働いたことのない職種に挑戦してみたい方
(紹介日時点で就労経験のない職業に就くのを希望していること)

2. 離転職を繰り返し、長く働くことができる職場を探している方
(紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職をしていること)

3. 働いていない期間がしばらくあったが、もう一度働いてみようという方
(紹介日の前日時点で離職機関が6か月を超えていること)

4. 重度身体障害、重度知的障害、精神障害がある方
(4に当てはまる人は、1~3を満たさなくても利用する事ができます)

また、障害者手帳を持っていない方でも、障害者トライアル雇用制度が使える場合もありますので、「障害者トライアル雇用を利用したい!」と思ったら、ハローワーク等で相談してみてください。

この制度では書類選考などはなく、障害者トライアル雇用を行っている企業で面接を受けることができます。

自分のペースでコツコツいこう!短時間から挑戦!

また、精神障害を持った方や発達障害を抱えた方で「いきなりの長時間勤務は難しいなぁ」という方には、障害者短時間トライアルコースというものがあります。

これは、週20時間以上働くことが難しい精神障害者や発達障害者の方が対象です。

週10時間~20時間から始め、体調や障害の症状に合わせて時間を延ばしていき、試行期間の間に週20時間になることを目指します。これなら、一般企業で働きたくても長時間は働けない、という障害者の方でもチャレンジしやすい制度だと思います。

ここまでのポイントとしては、
1. 自分に合った仕事か、またその職場は働きやすいかなど見極めてから就職できる
2. 企業と当事者との間の不安を解消してくれるため、安定して働くことができる
3. 精神障害者の方や発達障害者の方は短時間勤務から挑戦できる

という点です。

1では、「入ってみたのにイメージと違う!」ということや「合わない人ばかりで人間関係を築くのに疲れる!」ということを防ぐためにも、まずは自分がその職場で働けることがポイントです。

実際、障害者トライアル雇用を利用して就職した人の約86%が1年以上その企業で継続雇用されています。(H28年度)

そして2では、当事者と企業の間にジョブコーチ(地域障害者職業センター等に在籍し、障害者の就労面や生活面の支援をしてくれるスタッフのことを言います) などの支援員が間に入ってくれるため、両者の不安を解消することができます。

3では、精神障害者の方や発達障害者の方が最大12か月間かけて週20時間以上働けるようになるのを目標とするため、自分に合わせたペースで、ゆっくりと長時間勤務に慣れていくことができるという点がメリットです。

もちろん、トライアル雇用中も給料は支払われるため、収入を得ながら、自分の働いてみたい職場で経験を積むことができます。

このような点では、一般企業で働きたい障害者の方をサポートしてくれる力強い制度だといえます。

実際に働いてみての実感は?

もし、継続雇用につながらなかったとしても、まずは「働いてみる」ということに慣れる良い体験となるので、今後の就職活動においても貴重な経験になりますし、何より一定期間働けたという自信にもなると思います。

さらに、その企業で働いた際に

・障害に十分な配慮はあったか
・差別や偏見はなかったか
・自分でもできるような仕事内容であったか
・うまく人間関係を築いていけそうか

など振り返りをしてみることで、「本当に自分に合った」仕事を見つけられるかもしれません。まず一度、「働く」という経験をしてみることです。

その経験は将来の自分にとって、きっと大切なものになると思います。

一般企業にチャレンジしてみたいけど障害をお持ちで悩んでおられる方、ぜひこの「障害者トライアル雇用」を活用してみませんか?

きっと貴重な体験ができますよ!

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。