自傷行為者の隠れたSOS~否定しない支え方~

自傷行為

今回は「自傷行為」について!

近年、主に若い人の中で自傷行為を行う人が増加していると言われています。自傷行為を行う人は、悩みなどができても人に相談できず、一人で解決しようとする傾向にあります。

そんな自傷行為について、その行為をする人の心理や、周りの接し方など書いていこうと思います。

まず、自傷行為といわれるものにはどんな種類があるのでしょうか?

自傷行為とはどういうもの?

代表的なものは、手首を刃物などで傷つけるリストカット、腕を切るアームカット

そのほかにも、

・鉛筆や針など尖ったものを腕などに刺す

・薬を過剰に飲む(OD/オーバードーズ)

・頭を壁などにぶつける

等の行為が挙げられます。

では、なぜこういった行為をするのでしょうか?

主に、理由は大きく2つに分けられます。

1.不快な感情、不安などを紛らわすため

2.自分を罰するため

といった理由で行われることが多いようです。

1では、何か嫌なことがあったり、不安感に襲われたとき、負の感情を紛らわすために自傷行為に走ってしまう場合が多いです。

2では、例えば「親の期待に応えられなかった」などの思い込みから、

「自分はダメな人間だ」

と考えてしまい、自分に罰を与える意味で行われる場合があります。

自傷行為は「生きるため」に行う行為?

自傷行為を行っている人を見ると、

「自傷行為は周囲の関心を集めたいだけだ」

と思ってしまう人もいますが、必ずしも周りへのアピールのためだけとは言えず、表面上は明るくても、こころの中には何か悩み事がある可能性もあります。

それを誰にも相談できず、自傷行為に走ってしまう、という方も少なくないのです。

また、自傷行為自体が不安の解消法やストレス発散の手段となっていたり、

「死にたいから」というよりは生きるために」行われている場合が多いです。

筆者も自傷行為経験者です。筆者は、不登校だった時代、学校に行けない辛さや不安を誰にも理解してもらえなかったことがきっかけです。

中学時代に始まった自傷行為ですが、大人になるまで続いてしまいました。

このように自傷行為は習慣化しやすいというのも問題の一つと言えます。自傷行為をしている人を見つけた時、大切なことがあります。

まずは、自傷行為を否定しないこと

もし、自傷行為を頭から否定してしまうと、

「あぁ、結局周りの人は私のことを理解してくれないんだな」

と思うようになってしまう可能性があります。

そして、周りの人を信じることができないので、何か問題が起こった時、自分だけで解決しようとして失敗し、その代償として自傷行為に走る。

そんな悪循環に陥ってしまうのです。

それでは、自傷行為をしている人を見つけた場合、周りはどう対処したらいいのでしょうか?

もし自傷行為をしている人を見つけたら……

まずは、落ち着いて傷の手当てを行う

そして、

「辛かったね。でも大丈夫。私がいるからね。」

と自分がその人の味方であることを告げ、何か辛いことがあったらいつでも相談に乗る、という旨を伝えます。

自傷行為を行っている人も、必死に悩みと闘っているのです。悩みながらも、解決策が見つからず自傷に走ってしまうのです。

そこで否定されたら、自分の人生を否定されたような気持ちになります。

なので、もし自傷をしている人を見つけたら、

私はあなたの味方だよ。大丈夫だよ。

と手を差し伸べてあげてください。

今までは誰も自分のSOSに気づいてくれず、一人隠れて自分を傷つけることしかできなかった。でも、今の自分には味方がいる。

そんな安心感があれば、自傷行為に及ぶ前に〝味方でいてくれる人〟に相談する、という選択肢が頭に浮かぶかもしれません。

誰かに「相談する」ことによって、自傷行為が減っていく可能性もあるのです。

自傷行為をしている人を発見したら、精神保健福祉センターや地域の保健所等を活用したり、医療機関に相談に行ってください。

一人で問題を抱え込んだら、共倒れになってしまいます。それに、専門知識が少ない場合、間違った対処をしてしまうかもしれないからです。

自傷行為の背景に注意!

また、自傷行為の裏にはうつ病などの精神疾患が潜んでいることがあります。

その為、精神科や心療内科など医療機関などに相談することによってそれ以上状態が悪化しないよう対処してください。

自傷行為は簡単にやめられるものではありません。

しかし、周りが協力して、その人を守っていけるような対応をすれば、自傷行為は減る可能性が高いです。

自傷行為をしている人に対して、

「あなたは一人ではないよ」「あなたを心配している人はたくさんいるよ」

と伝えていくことが大切です。

周囲が支える事で、自傷行為を行っている人の良い変化へとつながるかもしれません。

自傷行為をしている人を見かけたら、「あなたは一人ではない」と伝えてあげてください。

著者 もち猫

福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。