最近、若者の間で薬のOD(オーバードーズ/過剰服薬)が流行しているのが問題視されています。
「オーバードーズ(Over does)」とは、薬を使う時の一回の用量(does)が過剰である(over)こと、または薬物の過剰摂取のことを言います。
筆者も精神疾患(統合失調症)があることから、抗不安薬などを処方されています。またODをして、緊急搬送され、胃洗浄を行ったこともあります。
ODを行うと、なんだかフワフワした気持ちになり、頭が回らなくなりますし、多少の多幸感もあります。
それが癖になり止められないという人も多いようです。
しかし、ODをすればもちろん身体(内臓)はボロボロになりますし、使用量によっては最悪の事態が起きてしまう可能性もあります。
そんな「オーバードーズ」について解説しました。
■ODって?~筆者の体験談も踏まえて~
先述しましたが、最近若者の間でODが流行っていることが問題視されています。
OD(Over does)は医師から処方された薬だけでなく、市販の薬でもできてしまうことが大きな問題だと言えます。
ODは、病院に通院している患者さんが誤って薬を多く飲んでしまったことも指しますが、病院には通院していなくても薬局で自由に購入できる薬でもできてしまうのです。
中には市販の風邪薬を一回に一瓶飲んでしまうという人もいるようです。
医薬品は大きく2つに分けられます。
・医療用医薬品
・一般用医薬品
の2つです。
医療用医薬品は、まだ使用実績が少ない、もしくは使い方が難しいなどの理由で、医師の処方箋がなければ一般の人が手に入れることはできないもののことをいいます。
それに対して一般用医薬品は、別名OTC(Over- The-Counter=カウンター越しに買える医薬品という意味)とも言われ、処方箋がなくても、薬局に行けば自由に購入することができる薬を指します。
これは、たくさんの人たちによって長年利用されてきて、製品に記載された用法・用量を守れば安全に使用できるだろうとされたものです。
一般用医薬品は簡単に手に入れることができとても便利ですが、飲み方や使用方法は購入者に委ねられてしまうというのが難しいところです。
一般用医薬品は用法用量を守って使っていれば問題ありませんが、一度に大量に服薬したりしてしまうと死に至る危険性もあります。
★筆者のOD体験記★
筆者は中学生時代から精神科に通っていました。その精神科は多剤を処方するところだったので、次の診察日までに薬が余ることが多々ありました。
中学時代、筆者はいじめを受けていました。クラスメイトには無視され、陰口や悪口をたたかれ、机に落書きをされる。
そんな学校が嫌になって不登校になりました。
しかし、いじめでされたことは頭から離れず、フラッシュバックして涙が止まらなくなり、パニック発作を起こすことも度々ありました。
そのたびにODをし、頭をボーっとさせることで苦しみから逃れていました。
この時の筆者がODに使っていた薬は医師から処方されたものですので、先ほど挙げた「医療用医薬品」の部類に入ります。
何を何錠飲んだかなどは危険もあるため掲載できませんが、医師から指示された用量よりだいぶ多く服用し、歩くときは頭もフラフラ、階段から落ちたこともありました。
中学にも行かないため、そのことが原因で母親から暴力を受けることもありました。
そういった時には眠剤をODし、いわゆる「寝逃げ」をしていました。眠剤を多く飲み、無理やり眠って嫌なことから逃れることです。
ODをすれば、確かに記憶は薄れますし多少の多幸感もあります。
嫌な現実から逃げるには手っ取り早い方法だと思います。
しかし、ODを繰り返していたためか、筆者は中学時代の記憶といったら「いじめられたこと」と「学校に行け、と母親から暴力を受けていたこと」くらいしか残っていません。
記憶が断片的にしか残っていないのです。
別室登校ができるようになり、楽しいこともあったはずなのに、相談室で何をしていたのか思い出したくても思い出せません。
修学旅行や、体育祭など楽しい思い出もあったはずなのに、その記憶の欠片もありません。
人間は嫌な記憶は自動的に消しますから、いじめられていたことや親に暴力を受けてたことなど忘れていいはずなのに、そんな記憶は残っていて楽しい記憶が一つも残っていないのです。
また、筆者には苦い記憶もあります。
希死念慮がとてつもなく強かった夜、筆者は100錠以上の抗不安薬を一気に飲みました。
「これで楽になれるかな」と思ったからです。
しかし、運の悪いこと(良いことと言ってもいいかもしれませんが)に弟に見つかり、病院に緊急搬送されました。
そこからが地獄でした。胃洗浄を行ったのですが、それがとても苦しかったです。
胃の中の薬を取り除くために、口からホースを入れられ、大量の水を胃の中に流し込まれました。
口からホースを入れられるだけでも苦しかったですが、水が入っていくと吐き戻しそうになり、それに耐えるのが大変でした。
胃洗浄が終わると、いろいろな機械のパッドを身体に付けられ、横になっているよう言われました。
薬を排出するため利尿剤も投与されるため、約5分おきに御手洗に行きたくなりました。
そのたびにナースコールを押し、看護師さんに支えられながら御手洗に行っていました。
そのまま一晩入院。いつも服用していた眠剤ももちろん飲めないため、時計を見ながら「あぁ、まだこんな時間か」と朝が来るのを待ちました。
その間に「ODした後ってこんなに苦しいんだ。みんなにも迷惑が掛かってしまうな」と反省したのを覚えています。
かなり迷惑をかけてしまったのに、看護師さんは「よく頑張ったね。もうこんなことしちゃだめだよ。みんなが心配するよ」と、温かい言葉をかけてくださいました。
退院する時は、迷惑をかけてしまった看護師さんやドクターにお礼と反省を述べ「もう二度とこんなことはしない」と誓いました。
一歩間違えば筆者は今、この世に存在していなかったことでしょう。
しかし、ドクターや看護師さんの懸命の救助で今こうやってコラムを書くことができています。
安易なODは多くの人に迷惑をかけ、また家族など周囲の人を心配させてしまう行為だと学んだ経験でした。
■何故若者にODが広がった?
若者がODに使う薬としては、市販の感冒薬(風邪の症状を抑えるもの)や鎮咳(ちんがい)薬(咳を抑えるもの)が多いと言われています。
毎日一瓶(約80錠)飲んでいたり、精神科や心療内科で処方された睡眠薬と共にかなり多くの量を服用する若者もいるようです。
こうした行為を「今日は〇錠服用した」などとSNS上で報告しあい、仲間を求めるような人もいます。
ODの成果をSNS上で報告し合うことにより「どれほど苦しい思いをしたか」を基準にヒエラルキー(階層、階級)が作り上げられてしまうこともあります。
こういった若者の間では「どれくらい自分が可哀想か」「どれくらい苦しい思いをして生きているか」が賞賛の基準になってしまうという現象も起きているのです。
現実の世界でネガティブな思いをしていたり、自分の思うように生きられないもどかしさを「ODをする」ということで発散し、それをSNS上で報告することにより、仲間を求めてしまうのです。
ODをすることは「命を絶つため」と思われがちですが、実際は「辛い現実から逃れたかった」という理由も多くあります。
また、以下のようなことがあるとODのリスクが高まるとされています。
・自己切傷、過量服薬の既往(意図的に身体を傷つけたり、多く薬を服用すること)
・パーソナリティ障害の既往
・摂食障害を患っている
・トラウマ体験がある
・孤立感を抱いている
・直接的、間接的に暴力に遭ったことがある
などです。
このように現実の世界で何らかの苦しみを味わっている若者が、SNS上にODの報告をすることで同じ境遇の仲間を求めてしまうのです。
上記に挙げたような体験をしている人たちは、人一倍承認欲求が高いため「ODをする」という自傷行為を行うことで、互いを認め合うような関係性を求めてしまうのですね。
■ODの危険性~ODは法律違反!?~
いくら市販薬が「捕まらない、法を犯していない薬」であっても、用法用量を守らなくては死の危険性もあります。
市販薬の中には数十年前から内容成分が変わっていないものもあり、最新の医療現場では副作用の影響などが危険視される成分が入っている可能性もあります。
例えばODで用いられやすい鎮咳薬には「メチルエフェドリン」という成分が含まれていることもありますが、これは法規制の対象となっており、覚せい剤原料なのです。
これを多量に服用すれば、違法薬物を摂取しているのと同じことになります。
効果としては、眠気が飛んで元気になるといったことが見られます。
メチルフェリドリンは食欲を抑えるという効用もあるため「痩せたい」といった女性などが過剰服薬してしまうケースもあります。
同じく鎮咳薬に含まれている「コデイン」という成分は、麻薬及び向精神薬取締法で規制されている成分です。
モルヒネやヘロインと同じ効果を持ち、使用すると意識がボーっとするのが特徴です。
覚せい剤よりも依存性が強いため、やめようとしても離脱症状が強く現れます。
過剰服薬すると肝臓や腎臓を傷めることになり、若くして透析が必要になったり、最悪の場合、死に至ることもあります。
しかし、そういうリスクを背負いながらも「ODをして死んでしまったのならそれでいい」という考えを持つ若者も存在します。
★ODは法律違反!?★
「ODをすることは自分の勝手だし、法律にも触れていないから良いじゃないか」
そんな声が聞こえてきそうです。しかし、実はODは触法行為なのです。
【医薬品の有効性と安全性を確保するために定められた法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法/旧:薬事法)】では、下のような条文があります。
(国民の役割)
第一条六 国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。
ODはこの「医薬品等を適正に使用するとともに」という部分に違反していますね。
つまり、ODは法律違反となってしまう訳です。
「自分だけの問題」では済まされないのです。他の人にも迷惑をかける行為だと認識し直すことが必要だといえますね。
■ODを止める為には?
若い世代はこころもナイーブで、とても繊細な子が多いです。
その為、少しの刺激で薬に頼ってしまったり、先述したようにSNSなどで発信することで仲間を見つけようとする傾向もあります。
そういった世代の彼ら彼女らのODを止めさせるには、どういったことが必要なのでしょうか?
★周囲の人ができること★
ドラッグストアなどでは、医薬品を1人で大量購入できないようにするような施策がありますが、インターネットを通じて重複して買うことはできますし、ドラッグストアをはしごすればいくつでも買えてしまいます。
それでは、ODをしている兆候などはどのようなものが見られるのでしょうか?
★ODをしている/ODをしてしまいそうな人のチェックリスト★
・ゴミ箱に、大量の薬のシートや箱が捨てられていた
・起こしてもなかなか起きないほど熟睡していることがある
・ボーっとしていることが多くなった
・やけにハイテンションな時がある
・逆に無口で表情が暗い時がある
・「死にたい」と言ったり、自傷行為の様子が見られる
・薬について調べた形跡がある
などがあったら、ODも疑われますが、他の精神疾患にかかっている可能性もあります。
しかし、もし当事者がODをしていると分かっても、怒ったりすることは逆効果です。
そういった行動を見つけたら、まずは話を聴いてあげてください。
ODを行う原因としては
・孤独
・寂しさ
・不安
・怒り
などが背景にある場合が多いです。
小さい頃に虐待を受けていたり、恐怖体験でトラウマを抱えていることもあります。
トラウマがフラッシュバックするのを防ぐためにODを行い、わざと頭をボーっとさせているという場合もあります。
自分を守るために、ODという手段を用いているのです。
周りにこころから信頼できる人がおらず、一人で問題を抱えてしまっているのです。
そのような子に必要なのは「信頼できる友人・大人」です。
こころを開いて話ができる人物が側にいれば、薬に頼らなくてもその人に話を聴いてもらうことによって、不安を解消できる可能性は高いです。
まずはその子が「ODをしている」ということを問題視するのではなく、信頼関係を少しずつでも築いていき、その子がこころを開いてくれるよう行動していくことが必要です。
とにかく、子どもや若者を孤立させないでください。
「あなたは一人じゃないよ」というメッセージを伝え続けていくことが大切です。
頭ごなしに「ODなんてやめなさい!」と言ったところで、彼ら彼女らの反発心を強くしてしまうだけです。
どうしたら信頼してもらえるか、子どもたちがこころを開いてくれるか、考えていかなくてはなりません。
今の社会は、少子高齢化、核家族化が進み、世代を超えた関わりが減るなどして家庭内の人間同士のつながりも希薄になっています。
子どもたちを放っておいて仕事に没頭する親。会話の少ない家庭。
確かに、子どもの学費を稼いだり、生活のために働くことは必要です。しかし、放っておかれた子どもたちはインターネットの世界に居場所を求めてしまいます。
今は小学生でもスマートフォンを持っている子もいます。寂しいと思えば、いつでもインターネットの世界に逃げ込むことはできてしまうのです。インターネット上では色々な情報があふれています。
また、顔も分からない誰かと簡単につながりを持つこともできてしまいます。
現実の世界でのつながりを持てないから、仮想の世界でつながりを求めてしまう。もし、その「誰か」からODについての知識を得てしまったら。
現実での寂しさを紛らわすために、ODを行うようになってしまうかもしれません。
なぜなら、その「誰か」がODを勧めてきたとき「この人にまで見離されたくない!」という気持ちが働いてしまうからです。
「もしこの人の誘い(勧め)を断ったら、また一人になってしまう」
そんな思いや「現実での辛いことを忘れられる」という甘い誘惑から、ODに走ってしまう子も少なくないのではないでしょうか。
そんな時に必要なのが、先述した「信頼できる大人の存在」です。
その子の異変に一番に気づき、顔の見えない「誰か」からその子を現実の世界へと引き戻してくれる大人。
その子を「もう大丈夫、心配ないよ」と温かく包み込んで、安心させてくれる大人。
今の若者たちにはそういった大人の存在が欠けているのです。
だからこそ、親や教師など身近な大人が子どもに寄り添い「現実の世界」で彼ら彼女らの「拠り所」となる必要があるのです。
まずは、身近な大人が「信頼できる存在」になれるよう努めていくことが必要だと言えますね。
★若者自身ができること★
まずは、ODを行うことによって心身に悪い影響が出てしまうこと、最悪の場合は死に至ることをしっかり認識してください。
「ODしたって周りに迷惑なんかかけていない」と思われているかもしれませんが、それは間違いです。
ODをしたことにより「以前のあなたとは何かが違う」ということは親など周囲の人にも分かります。
何か嫌なことがあったり、人間関係に悩んだりして薬に頼ろうとしてしまうかも知れませんが、そんなことをするくらいなら親や学校のスクールカウンセラー、保健室の先生、もしくは精神科や心療内科などのカウンセラーを頼ってください。
親が信頼できないというなら外部の大人でも構いません。
カウンセラーや保健室の先生は悩み相談にも乗ってくれますし、カウンセラーにおいてはメンタルケアのプロだと言えます。
もし何か悩みがあるのなら、勇気を出してその悩みを伝え、相談した相手と共にどうしたら解決できるのか一緒に考えていきましょう。
あなた一人で悩みを抱え込む必要はないのです。
確かに、薬に頼ってしまえば一瞬の快楽は手に入るかもしれません。しかし、問題の根本的な解決にはなりません。
筆者も、ODをしていたころは誰も信じることができず、何か辛いことがあると薬に頼っていました。
しかし、思い切って自分の悩みを話してみたところ、一緒になって解決策を考えてくれる大人に出会うことができました。それは中学校のスクールカウンセラーの先生です。
その先生と出会ったことで、
「周りの大人すべてが信頼できないという訳ではないんだ」
「この人なら自分の味方になってくれる」
と安心できたのを覚えています。
そのカウンセラーの先生とは、中学卒業後も連絡を取り合い、一緒にご飯を食べに行ったり、桜を見に行ったりと交流が続きました。
今はもう亡くなってしまったので会うことはできませんが、今までの人生で一番信頼のおける方だといえます。
筆者は、その先生のように困っている人の助けになりたいと思い、精神保健福祉士・社会福祉士の資格を取得しました。
今は障害のこともありA型事業所で働いていますが、福祉に関するコラムやkindleに出す本を執筆することで、自分のように精神障害で悩んでいる人や、学校や人間関係のことで悩んでいる人たちに対して「あなたは一人ではないんだよ」というメッセージを送っているつもりです。
あなたのことをこころから心配してくれる人はたくさんいます。
担任の先生、スクールカウンセラー、もちろん親だって、きっとあなたのことをとても心配しているはずです。
それに、周囲の友達もあなたのことを気にかけていると思います。
確かに、辛いことを忘れるためにODをすれば、辛い思いからは短い間でも逃げられるかもしれません。しかし、薬はあなたのこころやからだを確実に蝕んでいきます。
これ以上あなたの心身を傷つけないためにも、薬に頼ることからは離れてほしいと思います。
このコラムを読んでくださった方の中には、実際に今ODをしていたり、それを止めたいけれど止めることができなくて悩んでいる方もいるのではと思います。
また、身近な人がODを行っているけれど対処法が分からない方などもいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者は、ODで命を落としかけました。しかし、今は色々な人に支えられながら、自分の体験談も交えてコラムなどを書き、情報発信するというやりがいのある仕事に就くことができました。
確かに、人生上手くいくことばかりではありません。でも、しんどいことや辛いことばかりでもありません。
辛いことが続いたり、上手くいかないなと悩むことがあれば、信頼できる人ならだれでもいいです。とにかく今の自分の思いを吐き出してみてください。
人に話すのが難しければSNSを活用するのも良いと思います。実際に、筆者はツイッターの鍵アカウントで辛い思いを吐き出しています。
鍵アカウントなら自分から承認しなければ覗かれることもありません。
また、紙に思いを書き出すということもこころの中のもやもやの解消には向いていると思います。
紙に思いをアウトプットし、それを見られたくなければビリビリに破ってしまいましょう。
それをごみ箱に捨ててしまえば、何が書かれていたのかは自分しかわかりません。
とにかく、OD以外のストレス発散法を見つけることが、薬への依存から抜け出す第一歩ではないかと思います。
しかし、筆者も完全にODから抜け出せたわけではありません。でも、SNSを活用したり、趣味を見つけたりすることによって「プチOD」から少しずつ離れられていると思っています。
支援者さんからも、プチODをしていた時と比べてコミュニケーションのテンポが良くなってきたと評価をして頂いています。
薬は、用法用量を守って使えばこころやからだの治療になりますが、乱用してしまえばただの害にしかなりません。
快楽のために使うなどといったことはもってのほかです。
先ほども述べたように、ODは法に触れる行為なのですから。
まだプチODを止められていない筆者が偉いことをいうつもりはありませんが、今ODに関することで悩んでいる方と一緒に薬から離れていけたらいいな、と思っています。
一緒に、頑張ってみませんか?
筆者の想いが届くことを祈って、このコラムの締めくくりとさせて頂きます。
■まとめ
以上、ODの危険性や筆者の体験談、また最後には筆者の想いも掲載させて頂きました。
このコラムを開いて下さったということは、ODについて何か気になる点があるがゆえに、覗いて下さったのではと思います。
筆者の体験談から、ODをした後の処理はとても苦しいものだということが分かって頂けたでしょう。
ODは、あなたのこころやからだを確実に蝕んでいきます。
「薬を飲むと辛いことが忘れられるから」
「市販薬なら簡単に手に入るし、快楽が得られるから」
などと言った理由でODをしているなら、すぐにでもやめてほしいと思っています。
あなたのことを気にかけている人はたくさんいます。ただ、あなたが今精神的に落ち込んでいて、周囲の心遣いに気づけていないだけです。
あなたがODで命を落とすなどと言うことになったら、どれだけたくさんの人が悲しむか、考えたことはありますか?
もしそんなことになったら、周囲の人は「何故助けてあげられなかったんだろう」と後悔の念に苛まれるに違いありません。
「ODは誰にも迷惑をかけないから」
などといった思い込みは間違いです。みんな、あなたのことを心配しています。筆者も、自分がODをしていた経験があるからこそ、あなたのことが心配です。
辛いことや苦しいことを薬で誤魔化しても、根本的な解決にはなりません。
まずは、自分の苦しみを周りの「信頼できる人」に思い切って相談してみてください。
それが、薬から離れる第一歩になります。
あなたが薬に頼らなくても人生を歩んでいけるよう、こころから願っています。そして、筆者もプチODが止められるよう、あなたと一緒に頑張っていきたいと思います。
あなたの「こころからの笑顔」が見られることを祈ります。
著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。