自傷行為者の隠れたSOS~否定しない支え方~では自傷を行っている人の周囲の対応を紹介してきましたが、今回は自傷行為当事者が自分でできる対処法などを紹介していきたいと思います。
筆者も、自傷行為経験者です。中学時代からリスカが始まり、大人になった今でも続いています。
リスカなどの自傷行為が習慣化しやすいのは事実です。
何かに悩んだとき、不安が膨らんだとき、自傷行為に頼ってしまうという方もいるでしょう。
そのような状態に陥った時に自傷行為に直結しないような対応をまとめました。
自傷を防ぐ工夫とは?
こちらのコラムでは、自傷行為に代わる対処法などについて、筆者の主観を交えて、書いていこうと思います。
何かに悩んだとき、行き詰った時、不快感や不安感から「切りたい!」などと思ってしまいますよね。
自傷行為に頼りたいと思ったときは、頭が煮詰まっていたり、パニックになっていることが多いです。
その為、一旦クールダウンすることが必要です。
筆者が「自傷をしたい!」という衝動に襲われたときは、
・思い切って外に出かけてみる
・友達に何気ないLINEを送り、やりとりする
・好きな音楽を聴きながら心を落ち着かせる
・アイマスクをして横になり、頭をクールダウンさせる
などいろいろなことを試して、クールダウンしています。
これはあくまでも筆者の対処法なので、必ずしもあなたに合っているとは言えないかもしれません。
あなたに合った「自傷をしたい!」と思ったときの対処法を、探してみてください。でも、そうはいっても、自傷行為は簡単にやめられるものではないですよね。
自傷行為は、辛い現実を生き抜こうとするための証ともいえます。
しかし、自傷行為を繰り返しているうちにエスカレートしていき、コントロールできなくなれば命を落とす危険性もあります。
そのような事態にならないためにも、対処法を紹介していきたいと思います。
こころの不調を感じだしたら?
自傷行為をやめることができない背景には、精神疾患が隠れている場合もあります。
自分がこころの不調を感じたら、精神科・心療内科など専門機関を訪れてみることをおすすめします。
自傷行為をやめるために自分自身でできることと言えば、自傷のきっかけとなる出来事(トリガー)と自傷を食い止めるもの(アンカー)を見つけることです。
トリガーを見つけるためには、1日の行動を1時間ごとに記録していきます。内容としては、自傷行為をしたタイミングや、どこにいたのか、誰と一緒にいたのかなどです。
すると、自分がどんな時に自傷行為を行ってしまうのかなどの傾向が分かってくると思います。
その記録を見つつ、分析していくことによって、自傷行為をしやすい状況を回避すれば、自傷行為の回数は減ってくると思います。
また、自傷行為の代わりとなる「置換スキル」を身に付けるのも大切です。
「置換スキル」を行うことで、一時的に心理的な負担を軽くすることができます。
置換スキルには、刺激的置換スキルと鎮静的置換スキルの2種類があります。
刺激的置換スキルには、「血を見ると安心する」という人は腕を赤く塗りつぶしたり、氷を握りしめる、大声で叫ぶなどがあります。
ただ、こちらは刺激に慣れてしまうと効果が薄れてくるので、鎮静的置換スキルも身に付けてくことが必要です。こちらは、自傷行為と他の方向へ集中を向けたり等することで、不安や緊張といった負の感情を鎮めるためのものです。
内容としては、深呼吸をしながら瞑想する、気持ちを文章にしてノートに書く、絵を描く、静かな音楽を聴く、などがあります。
この2つのスキルを身に付けておくことによって、トリガーに出会ってしまったときに気持ちを違う方向へとそらすことができるようになります。
信頼できる人・相談先を見つけておこう!
最後に、一番大切なのが「信頼できる依存先」を見つけること。
例えば「信頼できる人」とは〝リスカなど自傷行為を行ってしまった〟と告白した時、「叱りつけたり、無視したり、迷惑そうにしない」人です。
簡単に「やめなさい」等という人がいますが、自傷行為は「やめろ」と強制されるものではありません。
あなたが必死に生きようとしている証なのです。
ですから、
「絶対に自傷行為をするな!」とはいいません。
時には自傷行為をしてしまうこともあるかもしれません。でも、きっといつか自傷に頼らなくても生きていけるようになるはずです。
筆者も、時間はかかりましたが、段々回数も減ってきています。
(いまだに「切りたい!」と思うことはありますが、何とか乗り切っています)
筆者も自傷経験者として、あなたがいつか自分のからだを痛めつけずに問題を解決していけることを願っています。
著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。