発達障害~大人のADHDとその対応~

発達障害

今回は「大人のADHD」について!

近年大人の発達障害がメディアに取り上げられる機会も多くなりました。

ADHDは身近な障害であり、体は健康でも、例えば子どもの頃気づかれなかったADHDの症状が大人になってから現れたりと、社会生活や日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

そんな「大人のADHD」について解説していこうと思います!

その「生きづらさ」、ADHDのせいかも?

まず、ADHDとはどのような障害なのでしょうか?

顕著に現れる症状は3あります。

1.不注意
2,多動
3.衝動性

この症状が中心となり、生きづらさの原因となっているのです。

しかし、上記のような症状が出ていてもすべてがADHDであるとは言えません。

ただ、仕事のケアレスミスがひどかったり、忘れ物を頻繁にしてしまうなどの場合が続くようなら、専門機関を訪れてみるのも一つの手です。

大人のADHDで見られやすい症状を挙げてみると、

・仕事でケアレスミスが多い
・マルチタスクができない、仕事を順序だてて行えない
・忘れ物が多かったり、人と会う約束を忘れてしまう
・そわそわしていて落ち着かない、貧乏ゆすりをしてしまう
・片付けが苦手
・思ったことをすぐ口に出してしまい、人間関係でトラブルになる

などがあります。

症状の出方や種類には個人差がありますが、それは本人の努力不足や怠けなどではありません。

本人なりに努力はしていても、なかなか改善されず、周りから

「仕事のできない人」
「だらしなく、まじめに仕事に取り組まない人」

というレッテルを貼られてしまうことが多くあるのです。

それでは、ADHDの特性を持った大人は、どのようなことに気を付けて生活していけばいいのでしょうか?

自分の特性を理解しよう!~協力のお願いも忘れずに~

まずは、ADHDという疾患の理解が大切です。その行動特性を理解し、良い方向へ変化させていくにはどうしたらいいかを考えます。

例えば、仕事をする上で周囲の環境調整をすることも大切です。

・スケジュール手帳や、スマートフォンのリマインダー機能を利用して、
 約束事や持ち物などを記憶しておく
・マルチタスクが難しい場合、指示は1つずつしてもらえるようお願いする
・計算などの作業が難しい場合は、手伝ってもらえるようお願いする

このようにして、自分で努力をするのに加えて、周りにも協力をお願いすることで、生きづらさが改善される可能性もあります。

もちろん、こういった協力をお願いする際には周りからの理解も必要です。

周りがADHDを理解することによって、「怠けだ」「やる気がない」などの誤解も減り、本人の受けるストレスも軽減されると思います。

ADHDの疑いがある場合は発達障害専門機関や精神科、心療内科などの専門機関を訪れることで問題が解決される場合もあります。

専門機関では、カウンセリングや薬物療法、ソーシャルスキルトレーニング等といった治療法も行われています。

カウンセリングでは、臨床心理士が心理検査・性格検査等の結果をもとに、ADHDの特性に応じた心理カウンセリングやコミュニケーション指導、対人関係の作り方の見直しなども行います。

SSTで課題を解決!自分なりのやり方を身に付けよう!

ソーシャルスキルトレーニングは、通称SSTと略されます。

SSTでは対人関係を構築する際に必要なスキルを習得するためのプログラム等を行います。

また、ADHDの方のSSTでは、対人場面で自分の考えをいきなり口に出してしまった時の対処法や、忘れ物を減らすための対策などの訓練が行われます。

簡単に言うと「生活上の困りごと」を解決していくための訓練です。

例えば、ADHDの人は頭で考えたことをパッと口に出してしまったりして、トラブルを引き起こすこともあります。

そのため、SSTによってその場面ではどういう振る舞いが適切か、などをロールプレイと呼ばれるプログラムで学んでいきます。

ロールプレイでは、ワーカーや当事者自身がその場面について演技をしたり、人形を用いて表現することによって、実際の場面にも活かせる術を学びます。

SSTではそのほかにも、ゲームやディスカッションなどのプログラムがあり、自分に必要なものを選んで受けることができます。

その為、自分が生活上で困っていることをしっかりと把握し、どんなプログラムに取り組んでいくのがいいのか考えることが必要です。

そして、プログラムで学んだことを実際に生活に取り入れる「般化」も大切です。

このような技法や、また医師の指導の下、服薬を継続することによって、ADHDの困りごとは少しずつ改善されていくと思います。

最初の一歩が肝心!思い切って踏み出そう!

ケアレスミスが続いて悩んでいる」という方や、

集中力が続かず、仕事が締め切りに間に合わない」ということで悩んでいる方は、成人の発達障害専門外来などを訪れてみると、問題が解決されることもあります。

もし上に挙げた様な症状で生きづらさを感じている方は、一度専門家のもとを訪れてみてはいかがでしょうか。今悩んでいる問題が改善される可能性もあります。

「こんなことも出来ないなんて…。」なんて悩んでいるより、勇気を出して一歩踏み出してみませんか?あなたが自分らしい生き方ができるよう祈っております。

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。