統合失調症~4つのステージから周りの接し方まで~

統合失調症
ElisaRivaによるPixabayからの画像

筆者であるもち猫も、統合失調症歴16年です。(2021年現在)

今も月2回の通院を続け、カウンセリングも受けており、服薬も欠かせません。

統合失調症は幻聴や妄想などの陽性症状と、意欲の低下や感情の平板化などの

陰性症状が見られる病気です。

今回は、そんな統合失調症とはどんな病気なのか説明してきたいと思います。

統合失調症特有の症状とは?l

まず、統合失調症は4つのステージに分けられます。

1.前兆期…不眠、焦燥感、また音や光に敏感になったりします。

2急性期…症状が最も激しく現れる時期です。幻覚(特に幻聴)、妄想、興奮など統合失調症特有の症状が      顕著になります。

3休息期…無気力で何もやる気がなくなる、眠る時間が長くなる、いつもぼーっとして いるなどの症状がみられる傾向があります。この時期は不安定で、ちょっとしたきっかけで急性期に逆戻りする可能性もあるので要注意です。

4回復期…症状がだんだん収まってきて、無気力な状態から脱出していきます。しかし認知機能に障害が現れることもあり、生活上の問題や社会生活を送っていく上で困難を感じることもあります。

統合失調症の患者さん全員がこの通りの経過をたどるとは限りませんが、

「こんな感じの経過をたどっていくんだな」

くらいに理解して頂けたら幸いです。

そして、統合失調症には「陽性症状」と「陰性症状」というものがあります。

こちらも簡単にまとめます。

<陽性症状>
妄想、幻覚(特に幻聴)を主とする症状です。幻聴と言っても人様々で、
「自分の悪口を言っている」「あの人たちは私の命を狙っている」
などといった被害的なものが多くみられる傾向にあります。

また、妄想も陽性症状に見られる主要な症状です。妄想は、非現実的なことでも信じ込んでしまう症状です。

こちらも「誰かが見張っている」「悪口を言われている」といった被害的なものや、テレパシーなどといった形で現れることもあります。

また、症状がひどくなってくると会話が成り立たなくなったり、支離滅裂になってしまうこともあります。

次に、陰性症状と呼ばれる症状について見ていきましょう。

<陰性症状>
感情表現が乏しくなったり、意欲の低下や無気力などが見られます。集中力の低下なども見られ、一つのことを続ける力が落ちる傾向にあります。

気持ちがふさぎ込み、部屋にこもりがちになってしまうことも。

これら2つの症状が見られ始めたら、注意が必要です。

まとめると、

1.統合失調症には4つのステージがあり、それぞれ主となる症状・対処法は異なる

2.陽性症状⇒過活動になったり、幻聴・妄想等あるはずのないものが表れる症状が主。  

3.陰性症状⇒やる気などの意欲がなくなってしまう、思考能力等が低下する症状が主。

となります。

筆者の統合失調症体験談

筆者は統合失調症になった当初、陽性症状が主で、自分を責めてきたり、攻撃的な幻聴、また被害的な妄想が主な症状でした。

妄想や幻聴の内容は本来あり得ないことも含まれていましたが、自分の中では

「これは現実に起きることなんだ」

と、とても怖い思いで外出することもできなくなり、家に引きこもってしまいました。

一番辛かったのは、この妄想や幻聴のことを家族に訴えても、理解してもらえなかったことです。

「そんなのは考え方を変えれば克服できる」

の一言で片づけられました…。私としては、頭の中で

「命を狙われている」

とまで言われているので、一人で恐怖に耐える毎日でした。

その後、こういった症状が顕著になり始めたため病院に行き、適切な治療を受け、自分も治療に対し積極的に臨みました。

すると、だんだん症状は軽減し、今ではA型事業所で働けるまでに回復しました。

当事者の家族にできることは?~まずは受け容れよう~

今は家族の理解もあり、周囲の助けも得ながら順調に回復に向かっていると思います。

統合失調症の患者さんを家族に持つ人には、まず「本人の訴えることに耳を傾ける、否定しない」ということをしてほしいと思います。

頭の中で起こっていることを周りに話しても、否定されれば人格を否定されたような気持になります。

頭から否定するのではなく、しっかり患者さんの話を聴いた上で、

「そんなに辛いんだね。でも、私たちがいるから大丈夫だよ」

と一言かけてもらえるだけでも、患者は安心感を覚えると思います。

家族の方が患者さんに対して

「否定しない」「安心感を与える」「常に味方であり続ける」という態度を持つことで、患者さんの状態が早く良くなる可能性もあります。

また、家族の方には陰性症状からくる「だるさ」や「やる気のなさ」にも理解を示してあげてほしいと思います。

「毎日仕事にも行かずゴロゴロして」
「昼まで寝ているとはどういうことだ」

などと本人のことを否定しないであげて欲しいです。それは、

本人の怠けのせい〟ではなく〝病気のせい〟だからです。病気の特徴として、体がだるくなったり、頭がボーっとしてやる気や集中力の低下につながってしまうのです。

本人の意思でどうこうできるものではありません。私も休息期や回復期には体が思うように動かず、一日何もしないで終わる日もありました。

でも、それは回復のためにエネルギーを貯めている段階だからなのです。患者さんの家族の方は、休息期や回復期にある患者さんが眠ってばかりいても、だらだらしていても、

「今は回復のためのエネルギーを貯めているんだな」

と温かく見守ってあげてください。

患者さん自身も、

「早く治さなきゃ」

などと焦る必要はありません。

焦らず、ゆっくりと、家族や医師などの手を借りながら(服薬が必要な場合は忘れずに!)
自分のペースで回復に向けて歩んでいってください。

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。