適応障害ってどんな病気?~ストレスとどう付き合っていくか~

障害

みなさんは「適応障害」という精神障害をご存知ですか?

適応障害とは、ストレスによって日常生活や社会生活に影響が出たり、それが原因でそのストレスのもとに対して過剰な反応が起こってしまうことを言います。

ストレスというと悲しいことや辛いことばかりを思い浮かべがちですが、子どもの独立や結婚など本来ならばうれしいことまでストレスの原因となってしまうこともあるのです。

そんな「ストレス」が原因となって起きる「適応障害」にスポットを当てました。

適応障害って?~小さなストレスでも不適応が起きる~

簡単にまとめると、適応障害とは

〝日常生活において、何らかのストレスが原因となって心身のバランスが崩れて、社会生活に支障が表れたもので、その原因が明確でそれに対して過剰な反応が起こったものをいう〟

となります。

ストレスの要因は人によってそれぞれ違います。

小さな出来事だと思われることが、その人にとってはすごく大きなストレスになったり、災害や親しい人との別れなども原因になったりします。

そして、柔軟な対応ができず、最初は小さなストレスでもそれが膨れ上がってしまい、その環境等に不適応を起こしてしまうのです。

適応障害の症状 こころとからだ、両方に表れる!

そして、今までの我慢の糸が切れてしまい、

・抑うつ気分になる、ふさぎこんでしまう
・涙もろくなる
・神経過敏になる
・イライラして周りにあたってしまう
・虚しい気持ちにこころが支配される
・何をしていても楽しくない

といった症状が表れます。

またからだの症状としては

・食欲がなくなり、何も食べたくなくなる
・暴飲・暴食でストレスを発散してしまう
・お酒を飲みすぎてしまう
・頭痛、肩こり、腹痛等の体調不良
・めまいが起こる
・緊張して手が震える
・眠れなくなる
・荒っぽい運転をしてしまう

などの症状が出たりすることもあります。

激しい緊張や、適応できない環境だけが適応障害の要因ではありません。

嬉しい事もストレスに!?子供も適応障害になる?

うつ病でも見られることですが、会社で昇進したり、結婚するなど本来ならば嬉しいことがストレスになり、適応障害を引き起こしてしまうこともあります。

また、子どもでも適応障害を発症することはあります。この時に表れる症状の一つに「赤ちゃん返り」といって、指しゃぶりをしたり、赤ちゃん言葉を使うようになることもあります。

子どもの適応障害の原因としては、学校でのいじめ、家庭内でのストレス、友人との関係などによってストレスが溜まってしまうことが原因ではないかと思われます。

このように、適応障害の原因のほとんどは「その人にとってストレスに感じることが長い間続くこと」です。

社会人の適応障害~働きやすい環境を整えるには~

例として、今回は社会人が適応障害になってしまう場合を見ていきたいと思います。

例えば、仕事を次々と抱え込んでしまう人。

仕事が溜まったり思うようにいかなくなると、キャパオーバーを起こします。

そのような状態になると、だんだん疲れやストレスが蓄積してきます。

そういう時には、以下のような症状が表れやすくなります。

・判断力が鈍くなった
・人と顔を合わすのが面倒になった
・しなければいけない仕事だとわかっていても後回しにしてしまう
・会社に行くのが面倒になって、無断欠勤や欠勤が増える

などです。

適応障害を克服するには、「ストレスの源」を取り除くことです。

社会人の場合、どういうことが辛いのか、また自分が社会で働いていくためにどのような配慮をしてほしいかを上司などに相談してみるといいと思います。すると、周囲も環境調整を行いやすくなります。

例えば会社では、

・医師に診断書を書いてもらい、しばらく休暇を取る
・本人に合った仕事ができるように、部署替えをする
・仕事をする場所(席の位置・パーテーションを置くなど)を変えてみる
・本人の仕事量が、許容能力を超えていないかを見直す
・働く時間を減らすなど本人の体調に合わせて調整する

などの配慮ができるのではないかと思います。

長引く場合は他の精神疾患を疑ってみる

また、場合によっては薬物療法を用いることもあります。医師の指導の下、薬を飲みながらストレスを減らす努力をしていくことで、症状は回復していくと思います。

適応障害が長く続く場合は、ほかの疾患を疑わないといけないこともあります。

例えば抑うつ気分が続く場合はうつ病が考えられますし、ほかにも

・統合失調症
・双極性感情障害
・発達障害

などが疑われる場合もありますので、その点にも注意しなければなりません。

どんな病気にも言えることですが、早期発見・早期治療が大切です。

とにかくストレスを一人で抱えこまないで、何か嫌なことや辛いことがあったら周囲の人に相談したり、気分転換をしてみる、ストレスがあまりにも続くようであれば、精神科や心療内科など、専門機関に頼ってみる、というのも早期治療を目指すにあたっては大事なことだといえます

ストレス社会といわれる現在ですが、こころの病にかからないよう、上手なストレスとの付き合い方や、自分なりのストレス発散法を考えてみてはいかがでしょうか?

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。