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子どもが楽しんで通える学校へ スクールソーシャルワーカーとは?

スクールソーシャルワーカー
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2019.12.032024.07.05

学校での児童の相談役というと、保健室の養護教諭やスクールカウンセラーを思い浮かべられる方も多いと思います。しかし、そのほかにも「スクールソーシャルワーカー」という職種もあるのです。今回は、児童が元気に学校に通えるように環境調整などをするスクールソーシャルワーカーについて綴っていこうと思います。

  1. ■環境面からアプローチ スクールソーシャルワーカーとは?
  2. ■いじめや不登校も支援 スクールソーシャルワーカーの仕事とは?
  3. ■スクールソーシャルワーカー活用法 保護者や先生のSOS
  4. ■スクールソーシャルワーカーについてまとめ

■環境面からアプローチ スクールソーシャルワーカーとは?

スクールソーシャルワーカーは、2008年より文部科学省の事業として始まりました。要件としては、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士のいずれかの資格を持っていることが必要となります。

社会福祉士、精神保健福祉士においては日本社会福祉士養成校協会や日本精神保健福祉士養成校協会が認めているスクールソーシャルワーカーの教育課程を修了することが条件です。

この教育課程の認定過程が設置されている大学などは、全国に61か所あります。(2019年4月現在)

臨床心理士においては、臨床心理士の資格取得後、指定された保健福祉系の大学院を卒業する必要があります。

臨床心理士は、大学院への進学が必要な分、大変だろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、スクールソーシャルワーカーとして働く際には臨床心理士の資格を持っていることで優遇される場合もあります。

スクールソーシャルワーカーと同じような職種にスクールカウンセラーがあります。しかし、仕事の内容は異なります。

スクールカウンセラーは児童の抱える問題に「心理面から」援助を行っていきます。主に、心理検査を行って心理分析をしたり、児童の話を聴いてアドバイスをするのが仕事です。

しかし、スクールソーシャルワーカーは児童、またはその家族などが持っている問題に「環境面から」アプローチしていきます。

環境面から働きかけていくことによって、人と環境の相互作用が生まれます。それを利用して児童の抱える問題を解決に導いていくのがスクールソーシャルワーカーの役目です。

■いじめや不登校も支援 スクールソーシャルワーカーの仕事とは?

スクールカウンセラーは心理面から児童に働きかけていきますが、いじめや不登校などの問題は心理面からのアプローチだけでは解決しないこともあります。

そんな時に活躍するのがスクールソーシャルワーカーです。家庭(親など)や学校、地域などの「環境」に働きかけ、利用できる社会資源も活用しながら問題の解決を図っていくのがスクールソーシャルワーカーの役目です。

支援を行っていく際には、担任やほかの教師、児童やその家族などとの間に信頼関係が築けているのが前提となります。

スクールソーシャルワーカーの仕事のうちに、不登校児の支援があります。今回はスクールソーシャルワーカーの仕事を紹介するために、例として不登校児の支援について説明します。

支援の方法の一つとして、まず教師や養護教諭とともに家庭訪問(アウトリーチ)が必要となります。

アウトリーチとは、学校内での問題を解決していくのだけではなく、問題を抱えている児童の家庭を訪問するなど、学校外へ出向いて問題の解決を図ることです。

なぜアウトリーチ支援が必要かというと、不登校の子どもたちは不安や劣等感、学校へ行きたいけど行くことができないという葛藤を抱えている場合が多いからです。

その為、学校という緊張する場であっては誰かに悩み事を相談するのは難しいことと言えます。

子どもたちが安心して悩みを話せるような自宅などにスクールソーシャルワーカーが出向いて、問題に対応することによって、児童に余計な負担をかけずに、徐々に不安や葛藤を解決へと導いていくのです。

そして、悩みの原因が明らかとなったら、教師や家族、また利用できる関係機関などとの連携によって、その子に合った支援の方法を考え、実行していきます。

不登校の子がいるのであれば、クラスの雰囲気を変える、別室(保健室、相談室など)登校ができないかということを検討してみるのも一つの手です。

まだ学校へ来るというのが難しいのであれば、スクールソーシャルワーカーなどが定期的に家庭訪問をしつつ、児童との関係が途切れないようにしながら、徐々に学校復帰へ向けて準備を行っていきます。

児童の支援をしていくうえで気をつけなければならないことは、「支援の主体は児童である」ということです。

児童の主体性を守ることが「〝その子〟という存在を大切にすること」につながるのです。教師や学校側の都合を押し付けるばかりでは問題は解決しません。

スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、担任の先生や養護教諭などと連携体制をとり、児童がまた登校できるようになるにはどうしたらいいか対策を練っていきます。

そうやって様々な職に話し合いに参加してもらい集団でいろいろなアイディアを出し、試行錯誤していくことによってその子にとってはどのようなかかわりがベストなのか導き出していくことが大切です。

スクールソーシャルワーカー独断で動けば、学校側や家庭との軋轢が生じる可能性もあります。

様々な職と情報を共有していくことによって、その子のことを「みんなで」見守る環境づくりをしてきます。

また家庭内での児童の様子も聴き取りや家庭訪問によって把握し、虐待やネグレクトがないかなどについても注意していきます。

学校や家庭での環境調整を行うことによって、子どもが「自分らしく」日常生活や学校生活を送っていけるように手助けするのも役割の一つです。

■スクールソーシャルワーカー活用法 保護者や先生のSOS

スクールソーシャルワーカーは、児童だけでなく教師や保護者への支援も行います。上の章でも述べたように不登校の児童がいる場合、必要に応じて教師や保護者、また関係機関とも連携を図っていきます。

児童が学校へも来ず、親の養育態度にも問題がありそうな場合、

・その子へどのような態度で関わったらいいのか
・家庭への支援をどのようにすればいいのか
・利用できる機関はあるのか
・どのような環境調整を行っていくのがベストなのか

などについてスクールソーシャルワーカーは情報収集をし、担任の先生や養護教諭、関係者などと情報を共有しつつ、その子の支援をどのようにしていくか方針を決めていきます。

もちろん、教師だけでなく児童やその保護者に対しても支援を行います。その家庭に何か問題があれば、利用できるサービスや制度など、スクールソーシャルワーカーが持っている社会資源のネットワークを活用して、問題の解決を図ります。

例えば、経済的に問題のある家庭の児童においては生活保護についての情報提供を行い、支援が受けられるようにサポートします。

また虐待やネグレクトを受けていて、家庭に居場所がない児童に対しては子ども食堂や子ども相談室など家庭以外の〝居場所〟についても情報提供をします。

スクールソーシャルワーカーは、

・相談室や保健室など別室登校ができるよう調整をする(不登校児の支援の場合)
・スクールソーシャルワーカーや担任が定期的に家庭訪問をする(子どもが望んだ場合)
・経済面に不安がある家庭については生活保護についての情報提供をする
・子どもの居場所がない場合、子どもが安心して過ごせる場所を提供する

などの情報提供をし、調整を行っていきます。

このように環境を整えたり先生にも配慮をお願いすることによって、その子が学校生活を送るにあたって心配なことも少なくなりますし、学校以外での過ごし方についての不安も軽減できます。

また生活保護などの福祉サービスの存在や利用の仕方などを保護者にアドバイスすることによっても、保護者の精神的な安定につながり、子どもの抱える不安は減るのではないかと思われます。

スクールソーシャルワーカーは福祉の専門家です。様々な機関とネットワークを構築している存在だとも言えます。

そんなスクールソーシャルワーカーという存在を知っているだけで、子どもについて困ったとき、頼るべき処として頭に浮かんでくると思います。

家庭内や学校で起こった問題を学校や家庭内だけで解決する必要はありません。スクールソーシャルワーカーという専門家を頼ってください。

きっと解決の道筋を見つけてくれるはずです。

■スクールソーシャルワーカーについてまとめ

今回は、スクールソーシャルワーカーという存在について知っていただきたくコラムに綴りました。

核家族化が進む今、まわりに頼れる存在がいない保護者の方も多いことでしょう。そんなとき、子どもや学校について、相談できるのがスクールソーシャルワーカーです。

学校側でも対応困難な事例などでは、スクールソーシャルワーカーに力を借りるべきだと思います。そのネットワークを活用することによって解決できる事例もあります。

子どもが元気に、自分らしい学校生活や日常生活を送るうえで、スクールソーシャルワーカーという存在は大切なものとなってくるのではないでしょうか。

しかし、未だスクールソーシャルワーカーは全学校に配置されているわけではありません。この事業が全国的なものとなることを願います。

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著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。

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