社会福祉士とは?~取得方法から活躍の場まで紹介!~

ソーシャルワーカー
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今回のテーマは「社会福祉士について」です。その定義から社会福祉士取得のルートや、資格取得後に活躍できる場などをまとめました。

■社会福祉士とは~根拠法と定義~


社会福祉士の根拠法は、「社会福祉士及び介護福祉士法」です。

定義は 

〝社会福祉士の名称を用いて、専門的知識および技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があることまたは環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者または医師その他の保健医療サービスを提供する者その他関係者との連絡および調整その他の援助を行うことを業とするものをいう〟

と定められています。

簡単に言うと、様々な理由により日常生活を送ることが難しくなった人の相談に応じ、社会資源(人・物・サービス)をつなげる橋渡し役だと思ってください。

■社会福祉士が守らなければならないこと

 社会福祉士は名称独占の資格です。その為、資格を持たない者が紛らわしい名称を使用することも許されません。(名称使用の制限)

また社会福祉士には守秘義務もあり、社会福祉士で無くなった後もクライエント(相談者)の秘密を他人に漏らしてはなりません。(秘密保持義務)

その他の義務等としては

・信用失墜行為の禁止
・誠実義務
・資質向上の義務
・連携

等があげられます。

■試験を受けるための要件は?

試験を受ける要件について主なものを挙げると、

1.4年制大学で指定科目を修了して卒業
2.2~3年の短期大学等で指定科目を修了したのち、1~2年の相談援助業務に従事
3.社会福祉士短期養成学校を卒業(6ヶ月以上)
4.社会福祉士一般養成学校を卒業(1年間)

等があります。

この他にも国家試験受験の資格を得るルートは複数ありますが、今回は割愛させていただきます。

上記のようなルートを経て、「社会福祉士国家試験」に合格すれば、あとは登録をし、登録証を受け取ることによって正式な社会福祉士として活躍できます!

■どう勉強する?社会福祉士への道!

試験は18科目あります。広い分野を掘り下げて勉強していく事で、その分、将来活躍できる職場も広まります。この試験はとても厳しいもので、18ある科目のうち1科目でも得点できていないとその時点で「不合格」となってしまいます。 その為、どの科目もとにかく1点以上、点を取れるように勉強を進めていかなければなりません。

それでは、勉強する際にはどの様な方法があるのでしょうか?

勉強に用いる本は、インターネットや大きめの書店で探すことをお勧めします。データが図解で示してあるものが多く載っている本、一問一答形式の本等、様々なものがあると思います。自分が使いやすいものを選んでください。最新版の資料集や問題集がいいと思います

なぜ新しい年度の本が必要かというと、法制度やサービス等の改正等がある為です。特に法律は常に新しいものを頭に入れておく必要があります

■社会福祉士を取得するのは難しい?

2020年に行われた「第32回社会福祉士国家試験」の結果を見てみると、

受験者数:39,629人
合格者数:11,612人
合格率:29.3%

となっています。

ここ数年で行われた社会福祉士国家試験の合格率は約25~30%程度で、合格するのはかなり難しい試験と言えます。

なぜこんなにも合格率が低いかというと、活躍する分野が広い為、知っておかなければいけないことも多いというのが一因だと言えます。

■合格後の進路は?どんなところで働けるの?

資格を持っていなくても福祉に関する仕事に就くことはできます。しかし、社会福祉士の資格を持っていることで、就職時の面接等では多少なりとも優位になる可能性があります。

社会福祉士が活躍できる場としては多岐にわたります。その為、社会福祉士の資格を取得すると、自分の興味のある福祉の分野で働ける可能性が高くなります

例えば、病院で働く社会福祉士は医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれます。MSWは、病院に入院や通院している方の相談に乗ったり、病院を患者さんが利用しやすいように調整を行っていく、また会議等に参加し、MSWの立場から意見を述べることもあります。

病院の患者さんの不安と言えば

・入院費はいくらになるんだろう?
・治療方針を知りたい
・怪我はいつぐらいに治るのかな?
・退院後の生活は?
・治った後の仕事はどうしよう

等、悩みは尽きないと思います。そこで患者さんの主な相談相手となるのがMSWです。MSWは、患者さんが「安心して治療に専念できるように」サポートを行っていきます。
 

MSWは患者さんのニーズ(希望・願望等)をきちんと聞き取る為に、何度も話し合いを重ね、信頼関係を築きます。何度も話し合う中で、患者さんが怪我や病気が治ったらどうしたいのか、何か使える社会資源はあるか等を把握していきます。

また、患者さんの家族や周囲の人も身近な人の入院等そんなに経験するものではないので、不安や心配でいっぱいだと思います。
そういった患者さんの周囲の人のニーズも聞きとり、本人のニーズと照らし合わせながら双方の納得のいく結果になるように調整するのもMSWの大切な役割です。

そこでMSWは、自分が持っているネットワークを活用して患者さんをフォローする体制を整えます。例えば、病院の中であれば薬剤師や理学療法士、作業療法士、栄養士、看護師、医師等と連携をとり、支援を行います。

それ以外にも周りの社会資源、例えば社会福祉協議会、地域包括支援センター、デイサービス、特別養護老人ホーム等とも連携をとります。

これは、入院していた患者さんが施設に入所することになったり、公的サービスを受ける事になった場合、情報を共有して施設等への移行がスムーズにいけるようにする為です。

ここまではMSWについて紹介しましたが、社会福祉士の働く場所は病院のみではありません。例を挙げると

・就労移行支援事業所
・介護老人保健施設
・児童相談所
・市役所の福祉課等(市によって課の名前は異なる場合があります)
・就労継続支援A型事業所

等です。

例えば、筆者が目標としている就労継続支援A型事業所で社会福祉士として働くことになれば、単に利用者を一般就労に繋げるだけでなく、利用者が社会に出て、壁に当たった際にそれを乗り越えるための力もつけていかなくてはなりません。

コラム筆者であるもち猫も、統合失調症歴15年になります。そして私は、障害者が障害者をサポートする「当事者ワーカー(ピア・スタッフ)」を目指しています。今は就労継続支援A型事業所でコラムを書くことを主な仕事としていますが、私もA型事業所のような、仲間の就労をサポートする仕事に就きたいと思っています。
また、私は社会福祉士の資格の所持者でもあるので、福祉や障害についての知識は持っています。それらを生かし、当事者ならではの助言や不安の軽減になるアドバイスを出来たら、と思います。

健常者ではわからない、「当事者」ならではの〝寄り添ったサポート〟をしていけたらと思っています。

私も、当事者ワーカーになる為にはまだまだ勉強不足です。私も仲間に頼られるような「当事者ワーカー」を目指して頑張っていきます。社会福祉士を目指している方、もち猫と一緒に「みんなを笑顔にできるソーシャルワーカー(社会福祉士)」を目指しましょう!皆さんと共に社会福祉士として働ける日が来るのを楽しみにしています。

精神保健福祉士についてもまとめましたので、よろしければご覧ください♪⇩

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。