「生活支援員」というとどんな人が思い浮かびますか?生活支援員は、障害者や高齢者の日常生活をサポートしたり、就労への機能向上の援助をする職員です。このコラムでは、就労継続支援A型で働く生活支援員の仕事内容や、どうやったら生活支援員を目指せるかなどを綴っていこうと思います。
■生活支援員とは? 就労継続支援A型職員編
生活支援員とは、主に障害を持つ方の食事・排泄の介助、また高齢者の施設生活でのサポート、障害者の就労支援などを行っていく職員です。
障害者支援施設などでは、障害者の生活の質の向上に向けた支援を行うほか、生産活動などにも関わっていきます。
就労継続支援A型での生活支援員の役割としては、障害者と一緒に作業に取り組みながら、障害者の健康面の管理や、障害者からのいろいろな悩み相談にも携わっていきます。
同施設では、障害者の一般就労に向けた訓練を行っていくため、障害者のニーズを引き出し、希望する職に就くことができるようサポートを行います。
就労継続支援A型にもそれぞれ特色があります。作業が比較的軽作業に近い作業内容だったり、またはパソコンを使った作業を行うなど実践に向けた作業があったり、カラーは異なってきます。
作業に共に取り組みながら、利用者が分からないところはフォローしつつ、利用者が意欲的に作業に取り組めるように調整を行います。
もちろん、作業を一緒にやるだけではなく、日常生活や障害に関する悩みや、将来に対する不安などの相談にも乗ります。
また、普段の何気ない雑談などから、利用者の生活の様子や、健康管理ができているかなどを読み取るスキルも必要です。
何か変わった様子であれば、個別相談を行うなどして、利用者の悩みや不安などを聴き取り、アドバイスをしたり、必要であればスタッフの会議などで話し合い、問題を解決に導いていきます。
利用者一人ひとりの変化などに敏感に気づき、利用者が少しでも快適に日常生活や社会生活が送れるようにするのが、生活支援員の役目です。
■生活支援員に向いている人とは?
就労継続支援A型で生活支援員として働くにあたって、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害など様々な障害に対する知識を持っていることは必要です。
就労継続支援A型は障害者が利用する施設である為、どの障害にはどんな特徴があるのかなど、ある程度の知識がないと不測の事態に陥った時に混乱してしまう場合があるからです。
また、利用者の悩み相談や将来の不安に対して誠実に向き合えることも大切です。障害を持つ人は、とても繊細なこころを持っている場合が多くあります。
利用者が職員を信頼して話をしてくれたのに、適当に受け流してしまったり、忙しさにかまけて答えをおろそかにしてしまったら、利用者のこころはとても傷ついてしまいます。
その為、利用者の立場に立って物事を考えたり、利用者と一緒に悩み、解決する方法を探っていくことができれば、利用者からの信頼も得られます。
また、職員が誠実な対応をすることによって、利用者は「自分のことを大切にしてくれている」と感じられると思います。
障害を持つ人は、その障害特有の生きづらさから、様々な悩みや不安を抱えて日々を過ごしています。
そんな中、いつも笑顔でいる職員がいて、「大丈夫」と励ましていてくれたら、利用者のこころも晴れるのではないでしょうか?
逆に、いつもイライラしていて、作業で失敗するたびに叱責してくる職員がいれば、利用者は事業所に行きたくなくなるどころか症状の悪化も懸念されます。
生活支援員がいつも笑顔で、将来に向けて後押しをしてくれること、これが利用者にとっての安心材料となるのではないでしょうか。
そんな職員がいる事業所は、利用者の〝こころの居場所〟としての機能も果たしていると思います。
■どうやったらなれる? 目指せ理想の生活支援員!
それでは、生活支援員という仕事に就くには、どのような資格要件が必要なのでしょうか?
特に「これが絶対必要!」という資格や実務経験はないのですが、一般的には、普通自動車免許を持っていることが望ましいです。
なぜ普通自動車免許が必要かというと、事業所によっては利用者の送迎がある可能性があるからです。
持っていると就職の際に歓迎される資格としては、
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・介護福祉士
・介護職員実務者研修(旧ヘルパー1級/基礎研修)
・介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)
・社会福祉主事任用資格
などが挙げられます。
これらの資格を持っていると、就職の際に有利になる可能性もあります。また、ほかの事業所などでの実務経験も優遇される傾向にあります。
就労継続支援A型で働くにあたっては、上の章でも述べたように障害(身体障害、精神障害、知的障害、発達障害など)に対するある程度の知識も必要となってきます。
就労継続支援A型は障害者の方が一般就労を目指して働く場ですので、不測の事態にも対応しなければなりませんし、障害に関する悩み相談にも応じなければいけないからです。
そして、あくまでも「主体は利用者である」ということを意識して仕事に取り組めるのも必要なスキルです。
利用者と一緒になって作業はしますが、それに没頭せず、いつも利用者の様子を見守る余裕も必要です。
利用者の体調面に変化はないかなどを観察しつつ、得意な作業・苦手な作業を見分け、作業能力の向上を図ります。
そしてどのようにしたらその利用者が事業所で快適に過ごすことができるかを常に考えていける感性が大切となってきます。
〝常に利用者の背中をそっと押すような〟利用者を支援していけるのが、理想の生活支援員といえるのではないでしょうか。
■生活支援員についてまとめ
生活支援員は、常に利用者の立場に立って物事を考え、利用者が有意義に生活できるようにサポートしていかなくてはなりません。
その為、就労継続支援A型で働くには、様々な障害に対するある程度の知識があり、利用者からの相談にも誠実に応じられる人柄が求められます。
また、就労継続支援A型では、利用者の一般就労に向けてのサポートを行っていくため、利用者の作業能力向上のためにどのような支援が必要かを考えていきます。
常に利用者を温かい目で見守り、利用者の背中を押すようなサポートができる生活支援員こそ、求められている人材なのではないかと思います。
今回は就労継続支援A型での生活支援員について解説しましたが、生活支援員の活躍できる場は多くあります。
これから生活支援員を目指される方には、障害者支援施設や、高齢者施設など自分の働きたい分野で輝いていってほしいと思います。
〝福祉的就労〟の中の一つ、「就労継続支援A型事業所」についてはこちら!⇩
著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。