睡眠障害とは?~きもちのいい眠り、出来ていますか?~

睡眠障害
Claudio_ScottによるPixabayからの画像bayからの画像

みなさんは、最近良い眠りをとることができていますか?


「寝付きがよくないな」「夜中に目が覚めてしまう」「寝ても疲れがとれていない」等の悩みがあるとしたら、あなたは不眠症かもしれません。よく眠れていないと、仕事や勉強に集中することができず、辛い思いをしますよね。

また「いくら寝ても寝た気がしない」「夜しっかり寝ているはずなのに、日中の眠気が酷い」等という不眠とは反対の悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。
この様な悩みをお持ちの方は、過眠症の恐れがあります。

筆者であるもち猫も、睡眠障害当事者です。今は眠剤を服用することで何とか眠れるようになりましたが、未だ早朝覚醒や中途覚醒に悩まされています。その為、睡眠をうまくとれないことによる辛さは身に染みて分かります。

このコラムでは「睡眠障害」についてそれぞれの症状や原因、自分でできる対策や治療法などまとめましたので、睡眠についてお悩みの方にはぜひ読んでいただきたいと思います。

■睡眠障害とは?不眠症編~昨日、よく眠れましたか?~

睡眠障害」と一口に言っても、様々な種類があります。朝起きられなかったり、そのせいで昼間眠くて仕方なかったり、ようやく眠りにつけたなと思っても夜中に目が覚めたり……。その人のライフスタイルや生活リズム、ストレスの度合いなどによって現れる症状は多岐にわたります。

今回は

1.不眠症
2.過眠症(ナルコレプシーを紹介)

について解説していきます。この章では、1の「不眠症」について述べていきます。

★不眠症にはどんな症状がある?★
不眠症とは

‶入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害等の睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下等の不調が出現する病気

とされています。

不眠の原因はストレス、生活リズムの乱れによる体内時計の狂い、引っ越しや転勤等の環境の変化など人それぞれです。それでは、上に挙げた症状について詳しく見ていきましょう。

まず「入眠障害」
布団に入ってもなかなか寝付けない、眠りに落ちるまでに2時間以上かかる等、不眠症の症状では最も訴えの多いものとされています。

次に「中途覚醒」
これは寝つくことはできるものの、夜中に何度も目が覚めてしまう為、熟睡できないものです。場合によっては昼間の眠気で昼寝などをしてしまうこともあります。

そして「早朝覚醒」
眠れるものの朝早くに目が覚めてしまい、そのまま眠ることができずに朝を迎えてしまうという形の不眠です。

朝、起きたい時刻よりも2時間以上前に目が覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れない、というのが早朝覚醒の症状とされています。中途覚醒と早朝覚醒は高齢になるにつれて見られることが多くなります。

最後に「熟眠障害」
睡眠時間としては十分でも、眠りの質が悪く、‶よく寝た!〟という感覚が感じられないものです。

上に挙げたものは1つの症状として現れることもありますが、重複して現れることも少なからずあります。例えば寝付きが悪く、眠りにはつけたものの途中で目が覚めてしまう。寝床には入ったもののなかなか寝付けず、眠りにつけても途中で何回も目が覚めたりしながら、そのまま朝を迎えてしまう等です。

不眠が続くと、眠れない為に疲労が溜まり、生活リズムが狂ってしまったり、朝起きられず会社や学校に行けなくなるなど様々な支障が出てきます。また日中に眠気が残っていると、注意力や集中力が散漫になり、勉強や仕事に集中できなくなります。そこで些細なミスがあったりして、気分が沈みがちになることもあります。

一方、イライラも生じやすくなり、小さなことに対して怒りを感じたりして、怒りっぽくなる人もいます。このように、不眠は日常生活を送る上でも大きな影響を及ぼすものとなってくるのです。

★こんなことが原因で眠れなくなることも!★
一口に「不眠症」といっても、原因には様々なものがあります。からだの病気やこころの病気、薬や刺激物の過剰摂取によるもの、あるいは生活リズムが狂ってしまったことや職場・学校でのストレスなどです。

しかも1つの原因だけでなく、複合的な原因で眠れなくなっていることが多い傾向にあります。


まず、ストレス。ストレッサーに対する感じ方は人によって違いますが、神経質な人ほどストレスの影響を受けやすいと言えると思います。

その為、他の人が特に何も感じないようなことであってもストレスだと受け取ってしまい、神経をすり減らすことになるのです。それが積み重なり、だんだん眠りに影響が出てきます。ストレスと感じた出来事を思い出してしまい眠りに付けなかったり、夢でうなされたり……。そしてそれが原因で眠れない分、神経がトゲトゲして余計ストレスを感じやすくなるという悪循環に陥ります。

次に、からだの病気高血圧や心臓病、呼吸器疾患(咳・発作等)、アレルギー疾患(からだ等のかゆみ)等々。いずれも病気の症状が現れることが不眠につながります。また、睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群などという疾患によって眠れない場合もあります。

これらは不眠を改善するよりも先にからだの病気を改善することの方が大切で、からだの病気が治癒すれば不眠も自然と納まっていくことが多いと言われています。

そして、こころの病気うつ病や統合失調症、適応障害など様々な障害があります。これらの多くの障害は眠を伴う傾向にあります。例えば「早朝覚醒」と「日内変動(朝が憂鬱で夕方にかけて調子が良くなる)」「気分が憂鬱で気が晴れない」などの症状が見られたら何らかのこころの病気の可能性があります。ただの不眠だと思っていたらうつ病だった、というケースも少なくないのです。こころの不調を感じたら、早めに精神科・心療内科などを訪れてみて下さい。早期発見が早く元気になるポイントです。

また、コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン、タバコ等に含まれるニコチンなども覚醒作用があり、寝る前に飲みすぎたりすると不眠の要因になることがあります。

このように、様々な原因により不眠は起きるのです。次は、不眠症とは真逆の「過眠症」について見ていきましょう。

■過眠症とは?~ナルコレプシーってどんな病気?~

★ナルコレプシーとは?★
過眠症とは、眠りすぎの症状が見られる睡眠障害の総称です。

‶夜更かしなどをしているわけでもなく、夜しっかり眠りが取れているのに、日中に極度の眠気を感じたり、その眠気に負けて実際に眠ってしまうことが毎日、少なくとも1ヶ月以上続く〟

ことを言います。日中の強烈な眠気が1ヶ月以上続く場合は過眠症の恐れがありますので、専門医の元を訪れることをお勧めします。

今回は、過眠症の中でも日中耐えられないほどの眠気が襲ってくる「ナルコレプシー」について紹介したいと思います。

ナルコレプシーは、日中の強い眠気や、通常自分が起きている時間帯に強烈な眠気が繰り返し訪れることを中心とした睡眠障害です。以下にナルコレプシーの症状を挙げます。

ナルコレプシーでは睡眠麻痺、またその出来事が現実に起きているかのような鮮明な夢幻覚等が入眠時、または覚醒時に起こることがあります。

患者の多くは、ある程度長期間、十分な睡眠を取っても日中の眠気などは改善しません。

多くの人が、自分ではコントロールできないような眠気(睡眠発作)に襲われるという経験をします。1回の発作の時間は2~3分ほどだと言われていますが、それが数時間続く人もいます。

2~3分の発作でも、目が覚めたときにすっきりとした感覚があるのが特徴です。夜の睡眠においては、時間的には眠れていても中途覚醒や鮮明な夢によって睡眠が浅くなったり、中断されてしまうこともあります。その為、余計に日中に眠気が襲ってきてしまい、仕事中や授業中にうとうとしてしまう、という症状が現れるのです。

ナルコレプシーの強烈な眠気は上にも挙げたように「睡眠発作」と呼ばれ、‶眠気が襲ってきた〟と思う前に深い眠りに陥ってしまう為、本人も気づかない内に眠ってしまっている、ということが起こります。健康な人でも、午後になると仕事などで疲れて眠くなってくることは誰しもが経験しますよね。


しかし「睡眠発作」というのは、自転車を運転しているのに眠ってしまう、話している途中で急に眠ってしまう、会議中に急に眠ってしまう等といった‶普通ではありえない状況で眠ってしまう〟ことを言います。普通の眠気とは全く違うのです。

そしてナルコレプシーに特徴的な症状として、いきなり全身やからだの力が抜けてしまう情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、睡眠麻痺等といったものがあります。

★ナルコレプシーが起きる仕組みって?★
ナルコレプシーの症状が起きる仕組みは、最近だんだん分かってきました。
大きな原因としては、脳の視床下部外側野から分泌される‶オレキシン〟というものの分泌不足なのではないかと言われています。オレキシンは、レム睡眠を制御する働きも持っています。その為このオレキシンが働かないと、眠気を抑えることが出来なくなり過眠になったり突然眠ってしまう、ということが起きるのです。

何故ナルコレプシーが起きるか、というのは未だ解明されていません。仮説としては、風邪等が原因でナルコレプシーになることもあるというところから、菌に感染することによってオレキシンを作る細胞が感染源と間違ってほかの細胞に攻撃され、オレキシンを作れなくなってしまう、という説が有力なものとなっています。

ナルコレプシーも生活に支障が出てしまう難しい病気です。

それでは、上記に紹介した「不眠症」や「過眠症(ナルコレプシー)」を良くしていくには、どのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか?

■不眠症対策 自分でできる対処法~よりよい睡眠のために~

★不眠症克服は正しい生活習慣から!リズムを整えよう!★
睡眠覚醒は体内時計が調節しています。その為、夜勤があったり、夜更かしをして睡眠リズムが狂ってしまうと、体内時計もおかしくなってしまうのです。そこで、寝る時間・起きる時間を一定にすることが大切になってきます。

しかし、「たくさん眠りたいから」「寝る時間が来たから」と言って寝床に行っても、なかなか寝付けないときもありますよね。そんなときは思い切って布団から出てください。無理やり寝床にいても、熟眠感が減るだけです。静かな音楽を聴く、アロマの匂いに癒される、あたたかいものを飲むなどして、眠気がくるのを待ちましょう。

もし睡眠不足で「日中に眠気がある」という時は、午後3時までに30分間の昼寝をすると、眠気を取り除くのに効果的だと言われています。

また、軽い運動をするのも眠気を誘ういい要因となります。ジョギングやウォーキングなど、軽く汗ばむ程度の運動が効果的です。定期的な運動習慣がある人は不眠症にかかる確率が低い、ともいわれています。

睡眠と運動には相関関係があります。運動をすることで効果的な睡眠を得ることができ、良い睡眠をとることによってまた運動に積極的に取り組むことが出来るというものです。
運動によって質の良い睡眠がとれれば、脳の疲れも癒されるため、メンタルヘルスの向上にもつながるのです。

また、自分流のストレス発散法を見つけたり、リラックスタイムを設ける等するのも大切です。

スポーツ、ショッピング、読書、音楽等々……。何でもいいです。こころが「楽しいな」「これをすれば自分は気持ちが楽になる」というものを探してみて下さい。

半身浴もいいといわれています。半身浴は心臓への負担も少なく、副交感神経の働きを良くし、睡眠の質もあがるからです。半身浴をしている最中に読書をしたり、音楽を聴いたりするのもいいかもしれませんね。

■ナルコレプシーの対処法~どうやったら眠気がなくなる?~

★過眠症も生活リズムが大切?薬は飲むの?★
ナルコレプシーでは、自分の意思とは関係なく突然眠ってしまう、という症状があります。自分で眠気を抑え込むのは難しいかもしれませんが、少しずつでも症状を改善していく事は可能です。

こちらも、不眠症対策と同じで、生活リズムを整えることは基本中の基本と言えます。乱れた生活を送っていると、体内時計も狂い始め、昼夜逆転の生活に陥ってしまう可能性もあるからです。その為、生活リズムを整えることが出来るよう心がけていきましょう。

ナルコレプシーは薬で治療を行うこともあります。薬を用いる場合は、医師の指示の下、適切に服薬してください。自分勝手な断薬や減薬は症状の悪化を招くこともあるため、もし「薬を減らしてみたいな」「もう少し眠れるようになりたいな」などと思ったら、医師や薬剤師と相談の上、処方の仕方を考えていってください。

★自分でできる対策は?★
上に挙げた「生活リズムを整える」ことも自分でできる対策の一つです。睡眠記録をつけるというのも良いですね。例えば何時に寝て、何時に中途覚醒して、何時に起きたか(朝起きた時間)を書くなど。自分の睡眠リズムを知ることによって、何時頃に眠れば質の良い睡眠がとれるのかわかりますし、どんな状態の時に中途覚醒が起きるのか確認すれば、中途覚醒の原因を取り除く努力をすることもできます。こういった‶記録法〟も自分で自分を知るには大切です。

またカフェインを適量摂るのも眠気を防ぐためには必要です。上の‶記録法〟も合わせて、医師などと連携して色々試行錯誤していくことで、良い睡眠がとれるようになるでしょう。

★最後に、筆者の睡眠対策をご紹介★
筆者の行っている「質の良い睡眠」をとるための方法を紹介したいと思います。

1.光や音は避ける!
筆者が眠るときは、部屋を真っ暗にして(常夜灯はつけます)アイマスクをして眠ります。そうすると、目を開いても視界は真っ暗。さらにパソコンやスマホなど光の刺激の強いものは、眠る30分前にはやめるようにしています。脳の過覚醒を防ぐためです。音楽を聴くときもありますが、ロックやポップなどのノリのいい曲ではなく、静かで眠りを誘ってくれるような曲をかけて寝床に入ります。音はもちろん小さめに設定します。また長い間鳴りっぱなしなどのようなことにならないように、スピーカーのタイマーもセットしておきます。あまり長い間鳴っていても、その音で起きる可能性があるからです。

2.眠剤を飲む時間はその日の調子で!
筆者は医師の指示の下、眠剤を服用しています。寝る前に服用するように医師に言われていますが、特に「何時に必ず飲む」とは決めていません。(こういった方も多いと思いますが) 眠くないのに「眠剤の時間だ!」と飲んでも眠気が来なかったりして「どうしよう、全然眠れない……」と焦りばかりが募るからです。その日の疲労度や眠気で「そろそろ眠れるかな?」と思ったら、寝る前に服用しています。
正しい処方量を、医師の指示の下しっかり飲む。良い眠りにつくための1つのポイントです。あくまでも、筆者が「より良い睡眠のために」行っている方法です。その人にはその人に合った服用の仕方がありますからね。一参考として見て頂ければ幸いです。

3.生活リズムを整える!
筆者は、何時に寝ても朝は5時には起きると決めています。スケジュール的なものもあるのですが、自分が「起きた時一番スッキリする時間」が朝の5時だから、というのが理由です。普通の人なら「朝早いなぁ」と思われる人もいるかもしれませんが、筆者は割と早寝なのでこの時間でもスッキリ目覚める事ができます。スッキリ、といってもたまには「まだ眠いなぁ……。」という時もあります。
しかし、5時のアラームが鳴ったらとにかくパッと起き上がってみるのです。そうすると、多少眠気があっても案外目は覚めるものです。アラームが鳴る中布団の中でもぞもぞしていても、中途半端に眠気が残るだけです。ここは思い切って起き上がってみましょう。

4.カフェインを適度に摂取する(ナルコレプシーの場合)
筆者はコーヒーが好きなので、1日に500mlのペットボトルのコーヒーを1本飲みます。それでも眠い時は、エナジードリンクなどのカフェインがたくさん入った栄養剤を摂取するようにしています。カフェインに対する人の感じ方はそれぞれですが、こういうものを摂取することによって、少しは眠気が和らぐのではないでしょうか。

以上、筆者の眠気対策を紹介してみました。何か少しでも参考になる事があれば幸いです。

■睡眠障害についてまとめ

以上睡眠障害について紹介してきました。不眠症・過眠症(ナルコレプシーなど)の改善には、やはり‶規則正しい生活リズム〟が肝となってきます。軽い運動を取り入れ、適度な疲労感を得ること、そしてリラックスタイムを作りストレスを上手に発散することなどを通じて、質の良い睡眠につながっていくと思います。これらは今からでも自分でできる対策なので、「やってみようかな」と思われた人はぜひ実践してみて下さい。

また筆者のように薬を飲みながら不眠症の克服を目指していく方法もあります。

しかし、そういった場合はきちんと医師の指導の下、適切な量を服薬していくのが大切です。眠れないからといって量を勝手に増やしてしまったりすれば、薬に対する耐性が付いてしまい、効果が薄れていってしまいます。

薬を服薬する場合は、医師の指示にきちんと従いましょう。その上で、相談を繰り返し、量や種類を調節しながら、自分にとっての良い眠りがとれるよう連携を取りましょう。

「眠れない!」や「日中の眠気で困っている」という方は、一度精神科や心療内科などを訪れてみるのも一つの手だと思います。「自分の力だけではどうにもできない」と感じたら、早めの受診をおすすめします。

著者 もち猫
福祉系の大学卒業と同時に社会福祉士、精神保健福祉士資格取得。統合失調症。自分の体験談なども織り交ぜながら、主に福祉系のコラムの執筆を担当。